上場製造業1002社、2009年度従業員一人当たり労務費、対前年比5%減
★日本企業の平均年間給与所得は国税庁調べで429万円(日経8月18日号)。
この支払給与の他に企業が負担する社会保険料、退職給付など総労務費を総報酬費とか、トータル・コンペンセーションと呼ぶ。
2008年秋の世界同時不況後の09年度の総労務費はどう変化したか?上場製造業1002社の一人当たり総労務費を集計した日経新聞8月18日号からポイントをまとめておこう。
★売上から直に外に出ていく原材料費、外注費などを引いた残りの儲けが、営業総利益とも粗利とも付加価値ともいう。その付加価値に占める総労務費が何割で1人当たり幾らかが、企業の労働分配率となる。
★社員にとっては労働分配率の高い企業は「うちは社員に優しいいい会社」となる。企業経営は「人のいい経営者」とやや斜めから評価される。
★2009年度の一人当たり総労務費824万円は、「景気拡大局面だった05年度には927万円に達していたが、当時から9%減っている」(日経8月18日号)ことになる。
しかし「労働分配率は製造業で65%とデータ取得が可能な過去25年で最高」(日経8月18日号)ということになった。
★日本企業は、従業員が受け取る年収平均が約430万円。
一人採用すれば、企業はその約2倍の824万円が総労務費として勘定しなくてはならないことになる。
★08年秋のリーマンショックによる業績の急悪化によって、「企業が生み出した付加価値の合計は09年度に前の期比で6%減少」するなか、人件費削減もそれに応じてバッサリできるわけがないから、必然、日本製造業の労働分配率は高止まりとなったわけだ。
労働分配率の上昇は、企業の利益率の悪化となる。
★ようやく世界同時不況から一息ついた2010年である。各社各様で見直された今後の経営計画の総括と展望は2011年から発動となる。
★日経新聞8月18日号が報じたキヤノンは「国内外のどの工場で生産すれば全体の全体の効率を最も高められるかを探る」
「御手洗会長は「労務費比率が高い製品に関しては、その工場での生産は打ち切ることも検討する」と強調」
キヤノンの場合、製造原価に占める労務費比率は「おおむね10%を境目」であるという。
★折からの円高は企業の生産、販売の体制見直しを一段と促している。2010年夏から11年春にむけて、ニッポンの企業もいつまでも「人のいい経営者」でいられるわけでもない。
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