民主党年金改革案、どこをどう改革するのか?(その8)
★2004年の年金改正紛糾時の頃だったと思う。TV朝日放映の「ビートたけしのTVタックル」に出演した民主党の某国会議員氏は、公的年金の運用損失を「こんなリスクをとる運用をやっていていいのか?」と自民党の某国会議員を問い詰めていたような記憶がある。
ところが、同じ民主党の原口一博さん、2009年に総務相大臣を拝命したかと思ったら、怪しいことを言い始めている。以下要約である。
★「120兆円の預かり金を、一つの機関でやるのではなく、機関を分割して、『新興国など成長分野に投資すべき』(日経新聞2月27日号)。原口さん、にわか「積極運用論者」になっていた。原口さんはいつのまにか誰かに入れ知恵された節がある。その「知恵者」とは誰か?02年の徳島知事選で落選した山﨑養世(やまさきやすよ)氏だった。「高速道路無料化の立案者」かつ「太陽経済論?」者である未来予言者、今はなぜか、総務相顧問となって、厚労省「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運営の在り方に関する検討会」のメンバーにもなっていた。
★厚労省「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運営の在り方に関する検討会」が立ち上がった09年11月30日、総務相顧問として山﨑養世氏、「公的年金積立金運用についての提言(Executive Summary)」と御大層な意見書を公表していた。以下、山﨑養世氏の「御意見」を拝聴しておこう。
★まずは、山﨑養世氏の公的年金の「積極運用論」要約である。
1)現状分析:
・「市場実勢から大きく乖離した期待収益、金利水準を主張」→「公的年金財政の健全性にも疑念」
・「7割の国内債券の資産配分」→「公的年金の積立金は日本経済の成長」→「ほとんど寄与せず」→「重大な機会損失」
・「リーマンショック以降」→「投資環境の精査や基本ポートフォリオの見直し」→「行った形跡がない」
・「資産運用経験の豊富な幹部」→「見当たらず」
・「インドや中国などへの投資」→「これまで見送ってきた」
・「7割の国内債券PT」→「収益改善の努力が見られない」
・「リスク管理」→「リスク性資産への投資に対する懸念も大きい」
2)公的年金運用改革策:
・「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」→「効率的な資産運用を求めること」→「非現実的」
・「国内債券87兆円程度」→「安全運用と元本確保」→「基本財産管理部分」→「GPIF」
・「残り30兆円」→「長期的な運用収益を達成」
3)公的年金投資方針:
・「年金運用」→「今後の経済成長や雇用創設」
・「環境、食糧、水」→「将来の成長と国民生活に不可欠な技術や産業」→「有効な投資」
4)投資行動組織:
・「ソブリン・ウェルス・ファンド(SWF、政府系ファンド)で運用」→「収益追求のための積極運用を行う組織」→「高い運用能力と運用の独立性」→「プロフェッショナルによる運用」
★支離滅裂である。
・「資産配分は運用成績の90%を説明」「非常に重要な投資意思決定」などといいながら、ひとつの資産を2つの運用組織で資産クラスを分離、特化して運用するという。
国内債券87兆円は国内債券だけの運用体制(GPIF=厚労省)、「環境、食糧、水」や「インドや中国?」などの収益追求のための積極運用の特化型の運用体制(SWF、政府系ファンド=総務省?)。要するに機構の拡大である。これは事業仕分けが必要なのではないか?
・「リスク管理」→「リスク性資産への投資に対する懸念も大きい」といいながら、「環境、食糧、水」や「インドや中国?」などの収益追求のリスクをどう計っているのか?
・「高い運用能力と運用の独立性」→「プロフェッショナルによる運用」?
これはどこかで聞いた話。冬のお化けである。これに関しては、下記をお読みいただきたい。投資のお馬鹿さんは死んではいなかったわけだ。
http://nenkin.co.jp/lifeplan-blog/news/archives/2008/05/27-072428.php
★山口養世さんは何者か?
・民主党の影のブレーン?原口一博総務大臣のお友達?公的年金の政府系ファンド化のオピニオン・リーダー?総務相顧問山口養世さんのプロフィールをネット情報の一部を引用要約。
1994年米系投資会社ゴールドマン・サックス入社、
98年ゴールドマン・サックス投信代表取締役社長
99年 ゴールドマン・サックス・アセット・マネージメント・ジャパン・リミテッド社長
02年ゴールドマン・サックス退社
02年徳島県知事選挙出馬・落選
03年「持論の高速道路無料化が第43回衆議院議員総選挙における民主党のマニフェストに採用」とある。
09年「太陽経済」論を発表。『風力発電とか太陽光発電で電気を作って、電池に蓄えて、超伝導で送電して、それを電気自動車などで使う社会になる。まさに「ガソリン・ゼロ社会」』と主張する。この「予想」、なにも山﨑養世さんが考えてわけでもなく、中学生でもよく知る常識である。
★「公的年金の積立金は日本経済の成長」→「ほとんど寄与せず」と言う山﨑養世さんである。氏が若き日に情熱を注ぎ、自らの富を獲得したであろうGS(ゴールドマン・サックス)時代、その富は公的年金、企業年金の積立金の投資ビジネスの拡大が「寄与」したことは否めないはず。
★山﨑養世さんが在籍したGSは、もちろん「プロフェッショナルによる運用」の会社である。現在の公的年金もその「プロフェッショナルによる運用」の複数会社に運用委託しているわけだが、それぞれのプロはどう違うのか?
★要は、現在の公的年金の資産運用を請け負うGPIF=厚労省には、「プロフェッショナルによる運用」の複数会社を扱えるプロ、マネージャーストラクチャーのプロがいない!と言いたいのだろうか?それができるのは「オレ」だと言いたいのだろうか?
(この稿つづく)
年金お助けBOOK 2008-2009年版
適格年金のやめ方