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「所得比例年金」の「所得」とは?

民主党年金改革案、どこをどう改革するのか?(その4)

★民主党年金改革案「所得比例年金」は、いかなる「所得」をもって「所得比例」とするのか?
思いつくままではあるが、今後の年金論争で争点となるであろう「所得比例年金」の「所得」の定義とその制度反映を、やや乱暴な側面はあるが大まかに推論してみたい。
まず、推定できる「所得」のカタチは5案程度あるのではないだろうか?

1案>現行厚生年金の標準報酬月額式。
2案>勤労者は税引き前労務所得の総額、自営業者は「みなし」税引き前労務所得。
3案>勤労者は給与所得控除後の労務所得、自営業者やフリーランサーは経費控除後の所得。
4案>所得税との一体徴収を制度改革の本分とするためすべての所得。勤労所得と従たる所得である利子所得、不動産所得、講演・原稿料など含めた総所得とする。

★この4案の「所得」についてもう少し詳しく「所得」を検証してみよう。金額はあくまでも概算であるが、民主党「所得比例年金」案は、負担と給付が対応するというだけでその計算方法は不明である。本稿ではこの推論的検証を試みるにあったて、現行厚生年金の支給方法で概算し、保険料と給付額を計量してみたい。金額は時価ベース。
本稿では、まず1案>現行厚生年金の標準報酬月額式案をみてみよう。

★1案>現行の厚生年金の標準報酬月額式を援用し保険料率15%を掛ける。
自営業者もフリーターの報酬も標準報酬額月額の各等級額にあてはめる。
ただし、自営業者は総収入とするか、「給与所得」とするかが大きなポイントとなる。もし自営業者は総収入、勤労者は給与賞与などの労務所得のみとすると、自営業者から「不公平」との誹りがあがる可能性大。
さらに、自営業者にとっては、保険料率の労使折半はなく15%全額負担。しかもどんなに低い所得でも下限にクラスアップされた標準報酬額に集約されるため負担の重圧感ははかり知れないものとなる。

<事例>勤労者が負担する保険料労使折半・自営業者は全額本人負担

●勤労者の場合は、税引き前:月給40万円(標準報酬額41万円)+賞与60万円年2回=年収600万円の場合、保険料率15%(現行制度の2017年から固定保険料18.3%で試算)とする。

・改正案では本人が負担する年間保険料は、約45万9000円。
・現行制度では本人負担の年間保険料は約55万9980円。
・新旧の保険料負担比較では改正案では10万980円も安くなる。

★問題はもらえる年金額となる。
・加入期間40年間の労使が拠出した期間納付保険料総額はその2倍掛ける40年分、3,672万円となる。
・65歳からの「所得比例年金」は、「平均標準報酬額」が51万円となる。
「平均標準報酬額」(例510,000円)×支給率(0.5481%)×加入月数(例480月)=年金額(例1,341,749円→1,341,800円)
・平均余命20年間の「所得比例年金」の受け取り総額は2,683万円。これに「遺族所得比例年金?」(老齢所得比例年金の75%)を配偶者が10年受けるとすると、約905万円。
・給付総額は約3,588万円。本人負担分総額1,836万円だから給付は倍となる。事業主負担を含めて考えれればほぼ負担と給付の1対1の対応とはなる。

●自営業者で40年間平均的に「年間所得」600万円の場合。「平均標準報酬」にあてはめると「平均標準報酬」は50万円。40年間加入の保険料負担額は、3,600万円。
・65歳からの「所得比例年金」は、
「平均標準報酬額」(例500,000円)×支給率(0.5481%)×加入月数(例480月)=年金額(例1,315,440円→1,315,500円)
・平均余命20年間の「所得比例年金」の受け取り総額は2,630万円。これに「遺族所得比例年金?」(老齢所得比例年金の75%)を配偶者が10年受けるとすると、約905万円。
・給付総額は約3,530万円。自営業者もほぼ負担と給付の1対1の対応とはなる。

★勤労者の保険料は労使拠出総額、自営業者も全額個人負担の保険料総額も、それぞれの年金総額もほぼ同じとなる。ここまでなら「所得比例年金」の全納税者への適用は素晴らしい「公平」化に見える。

★問題は自営業者の「所得比例年金」の負担の損得である。現在、自営業者が年間所得から負担している年金保険料、現在は国民年金保険料のみである。夫婦で年間約36万円強である。
民主党年金改革案では、この国民年金保険料に相当する「最低保障年金」の負担ゼロとなる。

★「所得比例年金」導入でいきなり年間90万円強の保険料負担が新たに発生となる。その分、所得控除ができるから納税額が減るとはいえ、可処分所得が激減、負担感は大きい。
これでは、多くの自営業者は「給与報酬」を減らすことに血眼になること必至である。

★しかも、自営業者が加入できる個人型確定拠出年金(DC)の非課税限度額81.6万円を40年間、1%で転がせれば3,989万円。
60歳から1%の年金換算率で20年間、毎年221万円の年金となる。

★民主党年金改革案「所得比例年金」は、各人の負担総額と給付総額が1対1で対応というのがその核心である。これを「みなし掛金建て年金」という人もいる。
その場合の掛金は、「なんらかの利息」を付加して積み上げられ、その年金終価を原資として、終身の年金として年金換算率を付加されて支給されるのであろう。
したがって、上記で試算した保険料総額、給付総額の将来額は「利率」次第となる。

本稿では、仕組み理解するために保険料は単純に掛金の元本の積み上げとした。
現段階では、「所得比例年金」の年金給付体系は不明であるが、民主党が考えるほどにはシンプルに1対1とはいかないはず、とだけここでは言っておきたい。

★負担する保険料と1対1に対応する年金、「所得比例年金」の「所得」を現行厚生年金の標準報酬月額式(1案)で把握する方法は、自営業者になんらかの手心を加えないと、怨嗟の的になりかねないようだ。

(民主党年金改革案プレ論点整理を試みていきたい。今後、どこが争点になり、我々がウオッチしていくのはどこか?本ブログでは、民主党年金改革案の蜃気楼に眼を凝らし、民主党年金改革、「本気」できるのかどうか?「本気」にやるとするとどこを解決しなくてはならないのか、考えていきたい。本稿は適宜、連載)


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2010年02月24日 01:47に投稿されたエントリーのページです。

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