リコール1000万台世界拡大、トヨタ株価続落
★トヨタの株価前日比140円安の3260円。ホンダの株価前日比160円高の3300円、一瞬逆転した2月4日であった。トヨタ自動車は2009年の赤字転落に次いで、2010年は品質不信の危機に直面している。2009年の米国でのアクセルの不具合で575万台、2010年に入りアクセルペダル不良で米欧でリコール440万台、プリウスのブレーキ苦情問題も浮上してきた。
企業の信頼とブランドを築くのは20年、30年とかかるが、その信頼を失うのは一瞬であることをあらためて教えてくれた。トヨタに何が起きているのか?
★2009年度決算見通しをトヨタの伊地知隆彦専務は2月4日発表。「自主回収に関連した費用と販売面の影響は、業績見通しに織り込み済み」と述べ、「営業利益に対し品質費用で1000億円、販売面で700億─800億円それぞれ減少させる要因になり、販売台数は生産停止や販売面での影響から、グローバルで10万台程度のマイナス影響」(ロイター日本語ニュース)
巷に今渦巻く、トヨタへの思いさまざまである。知人友人の何人かに聞いてみた。
★米国自動車最大手GMの経営破綻に相通じるものを感じとっている人がいる。今は遠く海外に住む元トヨタマンの旧友であり大先輩のAさんに「なにが問題なのか?」とメールで尋ねた。その返信メールの内容をご本人が了解した範囲で要約して紹介したい。
★「私はすでにトヨタを離れて15年が過ぎる。昨年の赤字転落、今ここに来て世界中で起きているトヨタ車リコールの嵐。トヨタの「不運」、または米国政府の謀略説などでお茶を濁すことではないと思っている」
「トヨタは数千億円のお金をかけリコール車対策を費やすだろうが、ついに販売台数大幅減、大規模な工場閉鎖、社員の大幅削減、株価暴落にすすむこと必至だ。最悪、ダイムラーベンツに身売りなんてこともありえるのではないかと心配している。また、トヨタの関係者は、会社がある日突然、消えることも想定範囲のひとつにいれる覚悟が必要だ。あのGMですら倒れた。他山の石としなくてはいけない。」
「実際にトヨタのこの10年は、すでに退職した者の老婆心ながら、いつからこの会社は驕りたかぶるようになったのかと痛感することばかりであった。ことに8代目の社長をやった奥田某がいけない。日本経済団体連合の会長就任まではよしとしても、やたらと時の政権与党のフィクサーのような役割をやる。安倍政権当時は内閣特別顧問などとわけのわからないことまでやった。しまいには、『やたらと年金制度の不信を煽るメディアには広告出稿を見合わせる』などと傲慢不遜なことまで言う始末」
「三河の田舎侍を任じてきたトヨタマン。なにも優秀な社長や役員がいたから利益1兆円企業になったわけではない。一人ひとりのトヨタマンのコストと品質の管理、トヨタディーラーセールスマンの不屈の闘志だ。
それを勘違いして、この間、多くの役員氏は、半官半民の国策会社の社長を安易に引き受けたりしてきた。上が上だから、聞くところ下の者まで、飛行機のビジネスクラスで踏ん反りかえっていたとも聞く。社員への福利厚生も労使ともども、これ以上ないというぐらい手厚い。要するに弛みつつあるのではないかと危惧している。危機にあって、鋭く集中団結するトヨタの伝統は生きているのか。そこが一番重要だ」
世界的大企業トヨタの驕りに原因ありと、OB氏は慨嘆する。
★トヨタ車をこよなく愛してきたBさん。「最近、エンジン音が急に変な音がするので、トヨタディーラーに検査を出したら、オイルとベルトを交換して、『原因は分かりません』と言って、車を返してきた。料金は3万円弱。メカニックが検査した形跡はないのだからあきれたよ」
すでに、トヨタが誇るディーラーの「サービス品質」も劣化しつつあるのか?
★車に詳しいIT技術者のCさん。「今の車は限りなく『電器製品』に近付いている。マイコン制御なくては走らない。修理といっても部品系統をそっくり交換しないと修復が出来ない構造になっている。車は走るパソコンと考える方がいい。『電器製品』になるということは、単なる部品の集積組み立て製品となり、誰もが製造できる工業品となるわけだ。価格は安売り競争の極致に入る。家電品やパソコンの廉価の運命を自動車産業は追いかけることになる」
★Cさんの意見はロイター日本語ニュース2月4日号の次のような記事と符丁する。『フィノウェイブ・インベストメンツ・チーフストラテジストの山岸優氏は「今回の問題は数カ月のスパンでみれば、トヨタが盛り返す場面があるかもしれないが、長期的な視点では、既に同社が衰退のフェーズに入った可能性もある」と指摘する』
『「今後の成長分野である電気自動車は参入障壁が低く、既存のガソリンメーカーの優位性は簡単に崩れることもありうる。リコール問題を乗り切っても、株価で逆転されたホンダとの比較も踏まえ、新しい分野でどう成長するか読めるようにならないと、トヨタに対する不安は消えないのではないか」と分析する』
★日本人が誇る工業製品の優秀さ、その「モノづくり神話」の代表企業であったトヨタ自動車。日本企業の衰退の象徴としてトヨタの衰退があってほしくないと、誰もが願っている。
年金お助けBOOK 2008-2009年版
適格年金のやめ方