今年も平均物価変動率▲0.3%超下落ならば来年は年金減額に
★2009年(H21)平均の全国消費者物価指数が総務省から1月29日に発表された。対前年比で物価変動率マイナス▲1.4%。2010年度の年金額は据え置きとなった。
★年金額据え置きの理由とは、「物価が年金額改定の基となっている2005年(H17)物価水準マイナス▲1.7%を下回らない場合は引き下げない」という「物価スライド特例水準」のルールにあるという。
★今年度の年金額を据え置くということは、▲1.7%と▲1.4%の差分0.3%だけまだ余分の支給となっている。従って、2010年の平均物価変動率が▲0.3%超下落ならば、その超過下落分だけ来年度の物価スライド特例水準の年金額は引き下げになる。
★それにしても、なぜこれほど分かりにくい年金額改定をするのか?
1990年のバブル経済崩壊後のデフレ経済下、現役勤労者である加入者の実感からすれば、給与は上がるどころか引き下がるなか保険料だけは毎年引き上げられる。
にもかかわらず、年金額だけは据え置く、なにか釈然としないものを感じる。
★ちなみに、もっとシンプルに対前年度の物価スライドを自動反映する年金額にしたならばどうなるのか?
1999年(H11)のモデル年金を厚生年金の老齢厚生年金10万円(月額)、国民年金の老齢基礎年金13.4万円(夫婦月額)、合計23.4万円を始点にすると、2010年度の年金額は22万7926円となる。下記に過去11年間の物価スライドを反映する推定年金額である。
★対前年物価変動率を反映した厚生年金・国民年金満額モデル額の推移(%は対前年物価変動率、円は年金月額)
対前年物価変動率 厚生年金・国民年金満額モデル額(円)
H11 -0.3% 234,000円
H12 -0.7% 233,298円
H13 -0.7% 231,665円
H14 -0.9% 230,043円
H15 -0.3% 227,973円
H16 0.0% 227,289円
H17 -0.3% 227,289円
H18 0.3% 226,607円
H19 0.0% 227,287円
H20 1.4% 227,287円
H21 -1.4% 230,469円
H22 ND 227,242円
★過去11年間、月額ベースで累計約7000円のマイナス、年額ベースで累計約8万円のマイナスとなる。年金受給者の年金、この程度の年金減額はこの11年間の物価下落、現役勤労者の給与水準の「実感的低下」からすれば、痛みをともなう引き下げともいえないぐらい小さい。
★デフレ経済といわれる目下の物価下落状況のなか、比較的多数の年金受給者にとってはなんとかかろうじて安寧な生活が保たれているはずである。年金受給者と現役の負担と給付のアンバランス感を少しでも埋める絶好の機会のはずだが、現行制度では「据え置き」しか手がない。
★かっては年金の自動物価スライドを実施していた時期もあったが、物価が下がるたびに法律を変え、政策スライドなどと言って据え置いてきた。
遺族年金や障害年金は最低保障額を設定し、少額年金加算でも設けるとか、弱者救済策はいくらでもあったが、無為無策、政治の臆病風がかくも世代間の「不公平」感かつ「不幸」感を拡大させてきた。
★なお、本来額と物価スライド特例水準額という2つの仮想曲線を設け、高い方を常に保証するニッポンの年金であるが、この2つの曲線の差は2010年はマイナス▲2.2%まで拡大。この差を「たまり」と呼ぶそうだが、「たまり」が解消しない限り、厚労省発案の伝家の宝刀「マクロ経済スライド」は実施されない。
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