企業年金基金に「特例一時金請求」が増大すれば年金基金解散も・・
★JAL日航の再建は暗礁に乗るのではないかという観測が浮上している。2010年1月19日、JAL日航は会社更生法を申請したが、企業年金問題が再燃する可能性が消えていない。負債総額2兆3221億円、債権放棄7300億円の借金棒引き、グループ全体で1万5661人の削減。100%減資で上場廃止、JAL日航株は紙屑となった。日本政策投資銀行が6000億円、企業再生支援機構が3000億円、総額約9000億円強の融資枠を設定し、企業再生支援機構による新生JAL日航の再建は3年以内に計られるという。JAL日航の企業年金は、現役社員53%、OB年金受給権者30%の給付現価率の引き下げはとりあえず成立しつつある。しかし、この計画の前途に待ち受けているのは、やはり企業年金の問題となることが杞憂されている。
★給付現価率引き下げに同意したOB年金受給権者は3分の2であるが、後の3分の1は「不同意」である。この方々には、「特例一時金請求権」が残されている。ここから、JAL日航企業年金問題はふたたび迷走、最後は解散に追い込まれる、という予測は消えていない。
★本誌ブログ1月13日号、「JAL企業年金減額、なにが問題なのか?(その7)―OB受給者同意成立、新生JALに待っていることは?」では、次のことを指摘した。
「まず、1万3000人強のリストラによって、会社を去る人の多くは企業年金基金から「選択一時金」もしくは「脱退一時金」を選択する可能性は高い。その場合、年金資産3000億円は急減することが見込まれる。積立不足はどの程度に拡大するか?」
「年金現価率4.5%を1.5%程度に引き下げたところで、過去勤務債務掛金、将来分掛金の引き上げは避けて通れないはずである。新生JAL日航の会社掛金負担はどのぐらいになるのであろうか?」
「繰り返し警告しておきたい。JAL日航の企業年金基金の継続は最悪の選択となるであろう。新生JAL日航の企業年金問題、本当の負の連鎖はこれからやってくる」
★新生JAL日航の企業年金問題は「解散」という大団円にむかって進むのか。この点は、OB年金受給権者の内部からも「解散もありうる」こととして警戒の声が出ている。
JAL日航OBのホームページ「JAL 企業年金の改定について考える会」のお知らせ229号 (2010.01.17)に掲載されている或るOB氏からの寄稿文にある「分析」は正鵠を得た論旨となっている。その要点を本誌の「分析」を交えてまとめておきたい。
★なぜ、JAL日航企業年金基金の解散の危機は消えていないのか?
(1)JAL日航企業年金基金の減額同意していないOB年金受給権者には「特例一時金請求権」が残されている。
(2)「特例一時金請求権」とは、各人の残存平均余命までの給付累計額を一時金で受け取れる仕組みのようだ。JAL日航OBのホームページの寄稿文は次のような鋭い「予感」を公表している。
●「特例一時金を請求するOBが多数に上った場合、現有年金基金の資産は昨年度末で2,900億円余りでしたので、株価上昇の現在でも、3,300億円程度と推測されます。
3,000人弱のOBの方々の多くが権利行使をした場合、1,000億円を超える資産を取り崩す必要が生じます。(お手元に届いた書類に記載された最低積立基準額に、例えば、2,500-2,900を乗じた額になる訳です)」
●「即ち、現在、現役・OB合わせて2万6千人ほどいるうち、1割ほどの脱退者が生じることで、3分の1前後の資産が取り崩されることになる訳です」
●「支援機構の強い意思により、公的資金が不足分の穴埋めに投入されることはあり得ませんから、上記金額が基金から流出した場合、年金支払いを維持することが極めて困難となり、その場合には、代議員会で解散の決議がなされる可能性が高くなると思われます」
●「そして、その解散決議が、特例一時金の支払い後か、特例一時金支払請求者数の確定後かつ支払い前かが問題となりますが、基金は、何れの場合でも解散決議が可能と思われます」
●「『特例一時金が支払われることなく、基金解散に至る』ということになると考えました。このことは、1月15日の事務折衝に於いて、会社側が基金解散がないことを確約しなかったことと照らし合わせても、荒唐無稽な考えではないと思われます。従って、年金問題は、全く解決している訳ではなく、新たな段階に移行したと考えるのが妥当ではないかと思う次第です」
★前原国交相が言うように「現役、OBの方々の会社が存続してほしいという願い」の通り、企業年金減額=日航再建という図式は余りにも甘い。JAL企業年金の迷走、「新たな段階に移行」(上記・OB受給者)した。今しばらく、注視していきたい。
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