★JAL日航の西松遥社長は、役員報酬も返上しほとんど無給かつ無休で孤軍奮闘している。恐らく、愛すべきJAL日航を殺しかねないシャフリヤール王に嫁いだ娘シャハラザードの如く眠れない夜、悪夢見る、千夜一夜が続いているのであろう。なぜ、ここまで最愛の会社が堕ちたのか。悔しくもあれば、自らの不甲斐なさ、その無力感との戦いは壮絶なものがある。ここまでは想像の域をでていないが、JAL日航の絶望を最もよく知っているのは西松遥社長であるはずだ。
★再建のスタートラインといわれている企業年金の引き下げぐらいで、この会社は生き残れるのか。政府はもちろん、企業再生支援機構も銀行団もマスメディアもこの会社をどうしたいのか、ダッチロール飛行が続いている。
★法的整理派の支援機構と財務省・政策投資銀行、自力再建という私的整理にこだわるJAL日航の西松社長とメインバンク・みずほ銀行、そして国交省、この間で揺れる鳩山首相という構図になる。藤井財務相の辞任をうけて、法的整理派の管直人氏が財務大臣に就任となった1月6日、政府の方針はどっちに転ぶのか?
★今後予想される1万人規模の人員削減のなか、残る社員も去る社員も、JAL日航がどんな航空会社になるのか、お先真っ暗のなか人生の大きな選択が待っている。
朝日新聞1月3日号に日航・西松遥社長インタビューが掲載されている。JAL日航の「喪主」とまで揶揄されている西松遥社長の意見を書き留めておこう。
★政府の「企業再生機構」による法的整理に反対する西松遥社長の気持ちは?
「年金だって自社で(削減を)やる、リストラもすると言っている。法的整理並みのことをしている」と、自力再建を主張する。しかし、もはや自力での資金繰りもできない会社である。自力再建を夢みていること事態、西松社長はかなりパラノイアになっている。
★政府「企業再生機構」による法的整理はなぜいけないのか?
「法的整理は(倒産の)イメージ」「お客様が減る」「お客様の評価が下がれば再生がつまずき、機構も困る」
すでに、JAL日航は実質的に経営破綻、一時国有化された会社である。ナショナル・フラッグとしての栄えある我が国の航空会社イメージなど、もはや「お客様」は抱いていない。誰に聞いてもJAL日航には乗りたくないと言うが、公共交通機関としてJAL日航の路線しかないので利用しているというのが真実なのではないだろうか。
すでに、JAL日航のイメージは倒産会社なのである。
★JAL日航の経営危機の原因は?
2008年9月以降の「金融危機以降、ビジネスマンの(国際線の)行き来が半分になった」という。しかし、ライバルのANA全日空とて同じ状況にある。未だ経営破綻にまで至っていない。
JAL日航は06年度472億円の赤字、07年度162億円の赤字に転落していたのである。経営危機は今にはじまったことではない。この会社の問題は外的要因にあるより危機を危機としてとらえきれない経営の体質にあることだけは確かなようだ。JAL日航の悲惨は、謙虚に現実を直視できない歴代経営者達が連綿とつづいたところにある。
★なぜ、経営改革ができずにきたのか?
「変化の速度が速すぎて、リストラや機材変更が追いつかなかった」と、航空会社が「変化の速度」に付いていけないと言ってしまっては、身も蓋もない。はからずも、この会社には切磋琢磨する経営品質がなかったことを西松遥社長、白状してしまった。
★今後の経営合理化の要諦は?
「国際線は将来性はあるが、不安定な経営を余議なくされる」「今まで国際線と国内線の売り上げの比率は半々」「全日空は(国際線事業で)我々の4割」「あと3割落としても競合できる」
しかし、飛行機を安全に飛ばすという最大使命がある企業で運航・顧客サービス・保守メンテなどのシステム全体を単純に3割削ぎ落とし、それにともなう陣容も削減した場合の「安全確保」はどうやって維持できるのだろうか?
★米国デルタ航空との提携の先にあるものはなにか?
「(デルタ航空が率いる『スカイチーム』に移籍すれば)システム変更などにすごい作業が必要」「アジアの航空需要は急激に増えている」「その点、スカイチームはアジアにメンバーが多い」だから、米国デルタ航空との提携に一縷の望みを繋いでいる日航・西松遥社長である。
頼みはアジアであるが、アジアは今や格安航空会社の主戦場である。
マレーシアのエアアジア、インドのエア・デカン、インドネシアのライオン・エア、シンガポールのタイガー・エアウェイズ、タイのノック・エア、オーストラリアのジェットスター・アジアなど格安航空会社は群雄割拠、戦国時代なのである。
甘い経営、高額給与、厚いベネフィットに慣れ親しんできたJAL日航の社員に「ファイティング・スピリッツ」はあるのだろうか?
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