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JAL企業年金減額、なにが問題なのか?(その3)

★日航元経営陣の退職金返納が報じられている。「経営再建中の日本航空は18日、兼子勲元社長、新町敏行前社長ら旧経営陣6人に対し、役員としての退職金の一部を返還するよう要請したことを明らかにした。いずれも応じる意向を示したという」と西松社長談話は、12月19日NTVネットニュースに掲載されていた。「企業年金の減額については『社員、OB挙げて当社の再生に協力するという意味で大きなメッセージになる』と述べ、減額実現が公的支援を受けるための前提になるとの認識を改めて示した」という記事があったのは12月21日付けの日経NETの配信記事であった。
それにしても、西松社長、辛い日々はお察しするが、人が良いというか甘ちゃん経営者だ。兼子勲元社長、新町敏行前社長ら旧経営陣6人、役員退職金の一部返還ぐらいで許されるのか?こうしたお仲間同士の馴れ合いがJAL日航をダメにしたのだと納得した談話だ。
師走押し迫った「21日から年金減額の正式な意向確認の投票を始めた。来年1月12日が締め切り日」(日経ネット同記事より)というから、JAL企業年金問題はいよいよ大詰めを迎えたわけだ。

★企業年金の給付現価引下げ、逆ザヤ縮小、PBO(退職給付債務)圧縮でJAL日航の経営が本当に再建できるものなのか?すでに、JAL日航の退職給付改革は遅きに逸したというのが、本稿のスタンスである。

★本当に経営再建を果たす気があるなら、もっと大胆なPBO(退職給付債務)圧縮に向かわない限り、この会社はふたたび後発債務に苦しむことになるはずである。すでに死にかけた会社が公的救済となるわけである。それにふさわしい退職給付改革があるはずである。

★その意味では、兼子勲元社長、新町敏行前社長ら旧経営陣6人は、過去においてやるべきであった退職給付改革に対して、余りにも無関心かつ中途半端だったのではないかいう疑念は消えない。今さら、過去を振り返ってもむなしいが、経営判断のなかで企業年金や退職給付債務をナメルとどういうことになるか、大変教訓にみちたJAL日航である。

★JAL日航で企業年金の問題、退職給付債務の圧縮を本気になって取り組むチャンスは2度あったはずだ。

一度目は、2000年4 月の日航厚生年金基金の予定利率を5.5%から4.5%に変更したときであった。この年からニッポンの企業に退職給付会計導入の嵐が吹き荒れていた。多くの上場企業では、予定利率を5.5%から4.5%程度の変更では焼け石に水、厚生年金基金解散か、確定拠出年金への移行か、代行返上から給付水準の縮小か、抜本的解決にむかっていた。

★二度目は、2007年の厚生年金基金の代行返上の時点にあったはずである。ほとんどの大企業が厚生年金基金の代行問題、PBO(退職給付債務)圧縮に取り組み終わった07年になって代行返上(将来分)、翌年10月 代行返上(過去分)完了、日航厚生年金基金から企業年金基金に移行という改革の遅さは、やはり「沈まぬ太陽」のロマンに自己陶酔できるだけあって、労使ともども「飛べない航空会社」であった。
しかも、この代行返上の際、申訳程度にキャッシュ・バランス(下限1.5%~上限6%の間で給付率変動)型の給付体系を導入するが、旧来の給付現価率4.5%の終身年金との選択制という全く意味のない制度変更をした。

★07年以降の早期退職を受け入れたJAL日航のOB達の多くが、旧来の現価率4.5%の終身年金を選択したというのは「利の当然」である。今あらためて、それを世間並みの1.5%に「引き下げ」というのでは、「騙された」と憤るのもよくわかる。まったく、先見性もない罪づくりな制度改正をやったものだ。

★それにしても、総幹事会社のコンサルティングや監査法人、監督官庁の厚労省(厚生年金基金の歴代の常務理事は厚労省天下りではなかったか?)はなにをやっていたのだろうか?
2006年から07年当時のこの会社の財務体質でこんな子供だましのような制度変更をよくぞ見逃したものだ。一度その理由を聞きたいところだ。

★JAL日航の現社長・西松氏は財務畑のホープだった。当時、基金解散、確定拠出年金(DC)導入ぐらい、誰でもできた技なのだ。身命を賭してまで、なぜ、できなかったのか?
「我が日航は、基金解散・確定拠出年金(DC)などという品のないことはできない」と偉そうにホザいていたJAL日航の年金担当者がいたものだ。

★2001年当時のJAL日航社長は労務畑のボス、兼子勲氏であった。04年4月に国内路線の拡大のために日本エアーシステムJASとの統合をはたした同氏は、その後、独裁者兼子さんと呼ばれながら、会長となり院政をひく。そして自分の配下の新町敏行氏を社長に据える。

★たしか2004年当時であった。経済同友会の会合で「JAS統合のためには負債の上限など考えずにやれ、とはっぱをかけている」と息巻いていた兼子会長の御高説を拝した記憶がある。

この会社の積立不足は日本でも有数であることを知る者としては、何と無謀きわまりないことを言うか!この爺さんは!と思ったものだ。それ以来、JAL日航の株式は持たず、JAL日航はなるべく乗らないと決めた。

★案の定、06年度472億円の赤字、07年度162億円の赤字に転落していった。この期間、2000年から2007年がJAL日航にとって企業年金の改革の正念場であったはずであるが、企業年金の予定利率と給付現価率を小手先でいじり、一時的にやり過ごしてきただけであった。
労務対策もできず、経営統治もできず、いわんや年金統治もできない経営者とはなんだったのだろうか。

★JAL日航の現役社員のこれからの苦しみは、多くのお公家様幹部社員、大馬鹿グータラ経営者によってすべて準備されてきたのだ。しかも、腐肉に群がるハイエナの如くJAL日航を食い散らかしてきた政治家、国交省(旧運輸省)の官僚たち。
マスメディアの諸兄よ、この堕落した企業をなぜに徹底解剖しないのか?
この解剖を経て、大手術、人材の総入れ替えでもしない限り、この企業の再建はできない。世界の航空業界はそんなに甘くはないはずである。

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2009年12月22日 06:00に投稿されたエントリーのページです。

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