★JAL日航の企業年金は、その原資の半分を退職一時金からの移行である。すると、退職給付全体は幾らなのか?恐らく、JAL日航では標準者で約4,200万円以上、管理職ベースで5,000万円以上、ここらあたりがひとつの基準ではないか、と推計できる。これは、ニッポンのサラリーマン&ウーマンにとっては、えらい高額退職金なのか、ごく普通なのかは脇において、JAL日航社員の退職給付をもう少し掘り下げてみたい。
★JAL企業年金の根底にあるのは、退職給付水準に問題があるのではないかというのが本稿のテーマである。
★そもそも、企業年金の減額とは何か?退職OBにとっては給付率=年金現価率の引き下げ=受け取り年金累計額引き下げであるから「これは減額だ!」と言う。しかし、企業年金の原資となる退職一時金=年金給付現価額が削減されない限り「減額」とはいわない。現役従業員から企業年金現価率引き下げに猛然とした反対がでてこないのは、恐らく、退職一時金=年金給付現価は現状維持といった労使のそれなりの「暗黙の約束」があるのであろう。
★JAL日航の退職給付とは、現状知りえる情報の範囲でいえば第1・第2・第3年金と退職一時金その総額ある。その総額はどのくらいになるのか?本稿の推計では、その総額は標準者モデルで4,238万円?と概算できる。
★正確に把握するにはJAL日航企業年金基金規約、退職金規定が必要なのであるが、この規約を手にいれるのは残念ながら現段階ではできず、各種情報からの「想像的」推計であることをお断りしておきたい。標準者モデル4,238万円の推計過程を読んでいただきたい。
★JAL日航の退職給付は三段重ね企業年金と退職一時金である。
●第1年金:会社49・本人15の掛金拠出。本稿推計:会社負担相当分標準者モデル1838万円?。
<下記から各人が選択>
・10年保証終身年金
・キャッシュ・バランス(変動型)20年保証終身年金
・一時金か年金か(選択割合:100%・75%・50%・25%)
※この第1年金の給付水準、給付額計算が一切分からないのであるが、受給者OBのホームページに次のような文言がある。「第1年金+第2年金:第3年金=2:1と仮定」(「JAL企業年金の改定について考える会」投稿記事より)ここらあたりから推計すれば、標準者モデルの第2年金:第3年金の現価総額1200万円×2=2400万円となる。第1年金の負担割合から単純に試算すれば、会社負担相当分は1838万円と推計できる。本人負担分は562万円程度?となる。
●第2年金:退職金の15%相当を移行。本稿推計:現価額は標準者モデル500万円。
<下記から各人選択>
・10年保証終身年金
・キャッシュ・バランス(変動型)20年保証終身年金
・一時金か年金か(選択割合:100%・75%・50%・25%)
●第3年金:退職金の20%相当を移行。本稿推計:現価額は標準者モデル700万円。
<下記から各人選択>
・10年保証終身年金
・キャッシュ・バランス(変動型)20年保証終身年金
・10年確定年金(原資700万円で月8万円)
・一時金か年金か(選択割合:100%・75%・50%・25%)
※キャッシュ・バランス(変動型)の給付利率は、上限6.0%から下限1.5%の間で変動。2009年時点では下限1.5%。
※第2年金と第3年金の給付現価額は、「退職時の基本給により金額が違う。1200万円前後」(「JAL企業年金の改定について考える会」HPより)という記述から引用である。
●退職一時金:標準者モデル1200万円。
残念ながらJAL日航の退職金規定、標準者モデルは公開されていない。ただし、第2年金と第3年金の給付現価は、退職一時金の50%相当であるから、自ずから標準者モデルでは、1200万円ということになる。
●上記の現価を合計すると、
第1年金1838万円、第2年金500万円、第3年金700万円、退職一時金1200万円、合計4,230万円。
●標準者モデルは4,238万円とすると、課長以上の管理職は一般的な企業だと標準者の1.2倍から1.5倍であるから管理職退職金は5,190万円から6,300万円というところであろうか?
★JAL日航の企業年金問題の報道で腹立たしいのは、制度の概要がよくわからないことである。
企業年金コンサルティングT氏からも「制度がどうなっているのか正確な情報がつたえられていないなかで論議されている。正確なところご存じないか?」と問い合わせメールがあった。また、経済誌・週刊ダイヤモンド11月21日号にもJAL企業年金特集あれども、今ひとつ、明確ではない。
勿論、JAL日航、会社はなにも公開していない。唯一あるのは年金減額反対のJAL年金受給者OBの団体のHP「「JAL 企業年金の改定について考える会」である。しかし、この内容も、何度読んでも、「何か隠しているのか」とおもいたいぐらい抽象的な年金設計しか公開されていない。
★国民に税金負担を仰ぐぐらいなら、当社の年金・退職金はこういう仕組みです。JAL経営陣は標準者モデル、管理職モデル、それぞれの給付現価はなんぼ、そのうち年金相当額はなんぼ、年金額でなんぼ、負担はいくら、この程度は公開すべきである。
★本稿は幾つかある資料から推計、推論の域をでていない。JAL日航では標準者で4,000万円程度、管理職ベースで5,000万円程度という本稿の推計が誤りであればご容赦願いたい。読者のなかで、より正確にJAL日航の退職給付制度をご存じの方は、是非に、御教示お願いします。
年金お助けBOOK 2008-2009年版
適格年金のやめ方