★週刊「東洋経済」編集部は2004年の年金改正を高く評価している。「周囲が年金破綻論に明け暮れているさなか、被保険者と国の負担引き上げ、そして年金給付抑制という難しい政治決着が行われていた」と激賞する。さて用語の適切な意味での「政治的決着」だったわけではない。実際は自民・公明党が強引に押し切っただけだったと記憶している。その2004年の年金改正の骨子とは?同誌週刊「東洋経済10月31日号」から引用。
★2004年の年金改正、3大骨子。
①厚生年金保険料を毎年段階的に引き上げ、2017年度の18.3%(厚生年金、労使折半)、1万6900円(国民年金)をもって上限固定。
②「マクロ経済スライド」という自動給付抑制機能を導入し、年金給付額を徐々に抑制。
③基礎年金部分を充てる国庫負担(税)を3分の1から2分の1に引き上げる。
★この改正によって、年金給付水準も『現在も未来も標準モデル世帯では「住宅ローンや子育ての終わった世代としては、それなりの生活ができる水準」』となったと同誌は言う。
★1960年生まれの現49歳の2025年では給付額23.9万円。1973年生まれの現36歳の2038年では給付額26.3万円になる。現役世代の所得に対する比率(所得代替率)55.2%から50.1%。「将来においても公的年金給付だけでそれなりの生活水準が維持できることがわかるだろう」と言う。
★とはいえ、2080年頃にはニッポンの人口は現在の半分、6030万人まで減少。「それなりに生活水準が維持」できる年金制度は持続できるのか?
★「来年生まれの赤ちゃんが40歳になる50年頃までは、残念ながら人口構成予想は大きく外れる可能性は低い。この確実に訪れる未来に対しては、先んじて保険料の段階的引き上げと給付の抑制を進め、積立金を積み増していく。そして、高齢者比率がピークを迎える70年ごろ以降は積立金を取り崩して財政をバランスさせるーこの2段階の対応が04年改正の考え方」と、週刊「東洋経済」編集部は厚労省100年年金プランを称揚する。
★保険料段階的引き上げ、給付の抑制、積立金の積み増し、2070年頃から積立取り崩して現行制度は100年継続できるそうだと「夢」を語る。
★さらに「人口構成予想は大きく外れる可能性は低い」根拠に、「来年生まれる赤ちゃんが60歳になる70年ごろの人口構成は、今後の対策次第で改善できるということだ」と、週刊「東洋経済」編集部は61年先に効果発揮する少子高齢化対策の「希望」をあげている。
★実は、現行年金制度守旧派の面々のうち慶応義塾大の権丈善一先生などは、年金ばかりに金を使うな!子作り、子育てに金を回せ!という「思い」が背景にある。
他方で、現行年金制度改革派には、子育て支援政策は欠かせないが、それが年金制度基盤強化として効力発揮されるのは20年30年先、現状の年金財政危機をどうするか?という危機感がある。学習院大の鈴木亘先生などがその代表である。
★守旧派も改革派も子作り、子育て支援への思いは変わらない。しかし、若年世代の「種の保存」意欲、子を持つ喜びをどうつくるかには解をみいだしていないようだ。
★子作り、子育て予備軍の何人かの30代とアラフォー世代に聞く。共通した意見は、やはり未来の子供たちの重い負担への危惧だ。「子育て支援金を一人年間30万円積まれても、この子らの未来が決して明るいものではないと思う。親やその親の年金負担を重く課すことがわかっている。860兆円という巨額の国の借金。考えちゃうよ」と言う。
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