★民主党新政権誕生の起因はさまざまあれども、自民公明党旧政権の年金改革のはぐらかしにある。巷の声は「年金をまじめにやっていない!」という国民の怒りから得た大勝利だったのだ。鳩山さんも長妻さんも古川さんもこの点をよく認識しているだろうか。過去5年間の旧政権首相の年金政策をふりかえってみよう。
★04年小泉さんの年金100年安心改革、この改革が秘めた政策であったマクロ経済スライド、「専門家に聞かなければわからない代物」と本音を吐露。07年安部さんの5千万件宙に浮いた年金記録問題への迷走発言。年金記録問題解決はたいした公約ではないといった福田さんの責任回避発言と社会保障国民会議による問題すり替え。麻生さんは国民年金税方式化の撤回。旧政権にとってはできるだけ先送りしたい年金問題であった。
09年衆議院総選挙での民主党の大勝利は、我々の年金不安をなんとかしてちょうだい、という国民各層の要望を良い意味では極めて心地よくすくい上げ、意地悪く言えばきわめて巧妙につけいった。
★現行年金制度の守旧派の面々、もはや反民主党年金改革の牙城となった週刊東洋経済が「年金激震だ!」、「破綻した年金破綻論、下火になった税方式化論議」と、震えて叫んでみても、実際は残念ながら、選挙民は年金改革をかかげる民主党をお選びになった。
★現行年金制度の継続を守旧派が旧政権の自民党に期待しても、どこまで現行制度を守り抜く根性があるかどうかは定かではない。そもそも自民党の老代議士の多くは、年金問題にはうんざりしている。河野太郎さん、林芳正さんなど自民党若手?は限りなく民主党案に近い年金改革論をもっていると推察しているが、残念ながら力不足である。
守旧派が頼れるのは現行制度100年安心論をかかげた公明党のみだ。しかし、この政党の今後の政策選択は未知数であり、柔軟に寝返ることも大いにあるのである。したがって、現段階で民主党政権が空中分解しない限り、現行制度守旧派のロジックが実現することはない。
★現行制度守旧派がオイラガ正しい、他は「間違った人達」と思ってみても、人々の判断は年金抜本改革のベクトルに期待を寄せている。
★今は民主党の年金改革のヤル気と本気をしっかり見定めていく方が現実的である。この民主党の年金改革、「ヤル気」はわかるが、「本気」かどうか?少し怪しいということは枚挙にいとまはないが、国民は今、固唾をのんで年金の未来の成り行きをみまもっているのだ。
★反民主党年金改革の牙城となった週刊東洋経済の「年金激震」特集、本来のジャーナリズムの立場なら、「なぜ、現行制度は人々の信任と理解を獲得できなかったのか?」という検証をすべきなのだ。マスコミや経済学者やその他大勢が「間違った」ことを言っているから、人々の年金不信と将来不安が増長したわけではない。経済学者の破綻論や財政論、改革論を読む人は極限られたインテリしかいない。
★圧倒的多数の庶民は、自分や家族の年金状況から、この制度は「やばい」と実感しているのである。「やばい」という年金感情(=勘定)はどこからくるのか?
年金制度改正の根本は、そのロジックが正しいかとか間違ったかより、制度が親しめるか、理解しやすいシンプルなものか、制度疎外感の距離をいかに縮めるかが肝要である。
そこで、民主党に提案である。
まずは、制度設計と並行して、現行年金制度は「なぜ間違ったか」、まず現行年金制度の政策「仕分け」してもらいたいものだ。
★来週は年金制度の復習をかねて、庶民の年金感情(=勘定)の現場からみた現行制度守旧派のロジックに耳を傾けてみたい。(この稿つづく)
年金お助けBOOK 2008-2009年版
適格年金のやめ方