★今しばらく、民主党政権年金改革についてトレースしておきたい。
鳩山さんが首相になって、年金改革の意義と必要性を発言したのは、10月28-29日の所信表明演説であった。これをうけて10月30日には公明党の山口那津男参議院議員から次のような代表質問をされている。
「2003年のマニフェストで発表したが、詳細設計を明らかにせず、今回のマニフェストでも制度設計の議論は2012年度から、新制度の導入は2014年度以降に先送りした」
★鳩山首相の回答は、
「年金制度に関しては公平・透明で新しい時代にあった制度をつくらなければならない」
「旧政権においては、年金100年安心と言われたようだが、私どもは100年安心の年金制度とは思っていない」
「最低保障年金というものを創設して、その財源には消費税を充てる」
「無年金・低年金者の対策についてだが、無年金・低年金対策を含む現行制度の改革について、新制度の具体的な制度設計と並行して、検討していく」
★民主党年金改革、こんなにのんびりかまえていていいのだろうか?
この点について疑念を提示しているのは、学習院大学経済学部教授・鈴木亘先生である。
「特にこの4年間は物凄いスピードで状況は変わるはずだ。ちょうど団塊の世代が年金受給者になる時期に重なるからだ。来年は1945年生まれの人たちが65歳になる。失われた10年ならぬ失われた4年にならなければよいが・・・」(月刊「企業年金」09年11月号・企業年金連合会発行)
★学習院大学経済学部教授・鈴木亘先生には、その著書『だまされないための年金・医療・介護入門』(発行は「東洋経済新報社」?)があった。このなかで、「戦後の団塊世代がものすごく得をしているのが問題」とし、少子高齢化、人口減少に対応するには、「税方式の基礎年金」「積立方式の厚生年金移行」を提唱していた。
これが「現状の少子高齢化でも財政がバランスしている現行制度をわざわざ壊して」と、現行制度守旧派の週刊「東洋経済10月31日号」「特集・民主党政権でどう変わる?年金激震」)について」で揶揄されていた。
★週刊「東洋経済」の「財政がバランスしている現行制度」というのはいささか思い入れが過ぎるが、鈴木亘先生が言うように「団塊の世代が年金受給者になる時期に重なる」から改革のスピードが遅いというのもいささか思い過ごしである。
★民主党年金改革案、すでに60歳から65歳に至る団塊世代はお呼びでない改正になるはずである。2014年に新年金実施となっても、団塊世代の老齢基礎年金を税方式の最低保障年金、老齢厚生年金を所得比例年金、名前が変わっても既に裁定された年金給付水準を引き下げるわけにはいかない。せめてできるのは、税金で追っかけ負担をしてもらうことしかできない。しかし、民主党年金改革案、今この時点で黙っていればいいものを大見得きってしまった。
★民主党年金改革案のひとつの盲点があるとすると、この高齢者への減税策にあるように思う。
民主党年金マニィフェストの5番目の柱である。
『最低保障年金の財源に消費税、年金受給者も負担?
年金受給者の税負担を軽減する
【政策目的】
1.年金受給者の負担を軽減し、高齢者の生活の安定を図る。
【具体策】
1.公的年金控除の最低補償額を140万円に戻す。
2.老年者控除50万円を復活する。
【所要額】
2400億円程度』
★この点に触れているのは、現行年金制度の守旧派が「間違った派」の一人としてやり玉にあげた西沢和彦氏による「民主党はこのまま将来世代にツケを負わせるのか」(中央公論、12月号)である。次号でこの論文から民主党年金改革案を見てみよう。
年金お助けBOOK 2008-2009年版
適格年金のやめ方