★日航JALは経営破たんしたのである。JAL日航の現役社員も受給者OBも、年金減額と言うより本来なら「残余資産」の分配しかないはずである。これが、「私的財産権の侵害になる」というなら、過去の企業の経営はたん、企業年金の閉鎖、厚生年金基金解散時、多くの企業で残余資産分配ですまされてきたことはなんだったのか?
厚生年金基金の場合にはお上はさらに非情である。国家は国が貸与した「代行部分」を破産管財人が決まる前にさっさと強制返上(金融機関にある年金資産を強制差し押さえ)させ、残された「上乗せ部分」の残余分を受給者と加入者で配分となるのが当たり前だった。本来なら「年金給付現価」として一時金相当額2000万円だった人が、300万円で打ち切りとなるケースに遭遇して、年金がもつ「非情な掟」を痛感したものだ。経営破たんした企業の年金加入者、OBは、泣く泣く少額の「残余資産」をのんできた。
★前原誠司国土交通相直属の日航JALタスクフォースがまとめた再建案が10月30日に公表される。「企業再生支援機構」のもとでの再建ということは国家による計画倒産、即国有化である。それにともなって「包括的な立法措置」を検討し、このなかで年金受給者の年金削減措置も設ける案があるという。
★現行の確定給付企業年金法のもとでは、受給者の年金減額は全受給者の2/3以上の賛同が認可条件となっている。すでに、日航JALの年金受給者9000人のうち3700名が「減額反対」を表明。このままでは会社存続を前提にした「再建」では、「年金減額」は法的に認可できない。そこででてきたのが、年金強制減額の立法、強制削減法案なのであろう。さて、この「蛮勇」の中身は現在定かではないが、恐らく、年金受給者OBには「年金給付現価」としての一時金相当額の支払い済残額までは保証される雲行きである。これはこれで、日航JALのOB諸君には「僥倖」と思って欲しい。
★この立法案について「私的財産権の侵害になる」という意見が軸となってカンカン諤々の論議が起こりそうであるが、今さら何を言っているのか。
企業年金の世界を多少でも知る者なら知っている。過去、企業が経営破たんした場合、厚労省は企業年金の資産、加入者や受給者の「私的財産」として、管財人に最優先債権として穴埋めさせるか、労働債権として保証してきたわけではない。
後数日で2000万円を手にできる人が300万円で精算された某企業年金。その企業年金の総幹事銀行の担当者、「まだ300万円あってよかったじゃないの」と堂々とおっしゃっていた。企業年金の世界、「私有財産権」曖昧模糊な制度なのだ。
経営破たん、国有化、公的資金注入、企業再建、OB年金給付現価の保証、なぜ日航JALだけは救われのか。
過日、講演会でおめにかかった著名な経済評論家のT氏、「私はもうJALには乗らない」と言っていた。
国民の怨嗟の矛先は、日航JALからのさらなる客離れとなること確実である。
年金お助けBOOK 2008-2009年版
適格年金のやめ方