★政権交代、鳩山新政権は9月16日発足した。
友愛と連帯をいいながら内ゲバ好きの団塊世代の一人でもある鳩山由紀夫氏である。世襲国会議員の元祖でもある。自民党旧田中派の先輩小沢幹事長に後輩鳩山首相、まったく今は頭が上がらない風情である。床屋政談風にいえば、どこで牙をむくか、これからが面白い。
このなかで、威風堂々、艱難汝を玉にする如くスキャンダル風説に耐えている民主党の新人衆院議員、田中美絵子氏(33歳)、その孤軍奮闘ぶりが水際立っている。
過去の来歴がマスメディアによって艶めかしく流布されるなか9月16日の初登庁、にこやかに颯爽と登場した。
★民主党員でもその取り巻きでもない筆者であるが、ここは民主党衆議院議員、田中美絵子さんを断固応援したくなった。同じ選挙区のライバル、自民党の森オソマツ前首相と比較するならば、断然、田中嬢の方が「人生経験」は愉快でもあり、かつ森厳である。
★「苦しい経済環境のなか生きてきた」と釈明するどこにでもいる一人の女性としても、一人の人間としても、波乱万丈、果敢に人生の場数を踏み、世の白刃の下をくぐってできた人だとあらためて感心した。
こういう人こそ国会議員にふさわしい。できうるならば、田中美絵子先生にはニッポンの教育政策の専門家になっていただきたい。今の婦女子に古色蒼然とした「女性の品格」を説くどこかの女学校の校長先生より、生きた課外授業ができる唯一の女性国会議員である、と思う。
★女優としては、芸名菊地美絵子で、作家・江戸川乱歩原作の映画「盲獣Vs一寸法師」(2001年製作、04年公開)に妖艶な人妻役で出演していたそうだ。
共演は「東京タワー」の作家リリー・フランキー、名優・丹波哲郎(故人)、監督は石井輝男監督(故人)である。我が青春時代、大好きだった高倉健主演の名作「網走番外地シリーズ」の映画監督である。女優、菊地美絵子として田中さん、端役であったとしても、東映ヤクザ映画の黄金期をつくった監督にキャスティングされたわけだ。大したものである。
さっそく、今週の休日はツタヤで「盲獣Vs一寸法師」のDVDを借りてきて鑑賞したいものだ。
★国会議員がその昔の女優時代に裸体をさらしたことも「問題」のような取り上げ方をされている。サンケイのネットニュースやスポーツ新聞、週刊文春など週刊誌の編集者、民放テレビのキャスターの視点はさもしく、かつ偏狭、アンフェアである。
★裸体といえば、変態国会議員の異名をとった元自民党の落選議員・山崎先生が密会相手の女性に盗撮された裸体写真をすっぱ抜いたのも週刊文春だった。どちらの裸体が「正しい裸体、ヌード」か?
★世のため、映画作品のため、生活のために裸身をさらした女優・菊地美絵子さんの裸体こそ「正しい裸体」であるのは当然である。
“ヌード女優歴”を明かさなかったのがいけないならば、元女優という女性は国会議員になれないことになる。これは文字通りセクハラであり職業蔑視である。
★田中美絵子さんは文才もあるようだ。「渋谷有栖」(しぶや・ありす)のペンネームでコスプレ風俗ライターの経歴があった。これも選挙前にあかされなかったことも問題ありのような記事がある。
名前は思い出せないが、その昔、学生時代に新宿二丁目でポン引きのアルバイトをやっていたことがあると自慢げに語っていた元社会党の国会議員がいた。若い頃、ヤクザのパシリをやっていたという元自民党の先生もいた。誰だって、若い時にたまたまたずさわった職業のひとつやふたつ、世間にはいいたくないものはある。
大学を出たけど、自分に適した職業がみつけられず、さまざまな仕事にチャレンジしてきただけのことである。
田中美絵子さん尊敬する政治家は、「小泉純一郎」という。平成バブル崩壊後に世に出て就職氷河期に遭遇したこの世代にとって、「改革なくして成長なし」「自民党をぶっ壊す」と吠えた純ちゃんは、一瞬「希望」だったのである。これを笑うことはできない。
何の不自由もなく、金の心配もなく、親が用意してきた政治家として育ってき御曹司、世襲国会議員達ばかりのニッポン政治状況に、なにか痛快な風を吹き付けた。それが田中美絵子さんと思いたい。
★田中美絵子さん、ペンネーム渋谷有栖さんのコスプレ風俗ライター、フリーライターとしてはユニークかつ楽しそうな編集記者仕事ではないか。筆者は渋谷有栖さんの風俗ルポを読んだわけではないが、風俗ライターは、大変ヘビーな取材仕事である。かつかなりの文才がないと勤まらない。
官庁の記者クラブで昼から麻雀かチンチロリン、夕方、役人にもらったプレスリリースから作稿している大新聞社の記者より何倍も足も時間も自腹の金も使う仕事である。コスプレ風俗ライター、立派な取材記者である。
★それにしても、週刊文春やスポーツ新聞、サンケイネットの記者、民放テレビのキャスター諸君は、自らの職業をわきまえていない。君らの仕事の多くは、未だ、若き日の田中美絵子さんのような無数の貧しく、がむしゃらなフリーライターやルポライターによって支えられているはずである。とくに、民放テレビ局、スポーツ新聞の方々は、そんな偉そうなことは言えないはず。君らの深夜のエログロ番組、スポーツ新聞の風俗記事、誰によって構成され、君らの給与になっているのか?
それを新聞、雑誌、民法テレビは、「コスプレ風俗ライター」をあたかも意味ありげな職業のような書き方、映像を流す。同じ職業人としての連帯感もないのかと恥ずかしくなる。
★さらにいけないのが民主党の反応である。9月10日のサンケイネットである。『「民主党のほうはシャレになっていない様子で、「まだ公にしていない経歴があるかもしれず、調査が必要。次から次へと出てくるのはまずい」(幹部)と青ざめている」
バカも休みやすみ言いなさいとはこのことである。調査するほどのことでもない。本人は別に詐称しているわけでもないのである。ただ、世間にいうほどのこともないので云わなかっただけなのである。
★小沢幹事長にいたっては、新人議員に対して、「品格」を説く。たしかに「品格」も大切だが、田中美絵子さんの“ヌード女優歴” コスプレ風俗ライターも「品格」ある職業である。
品格とは一人の人間の矜持の持ち方である。金儲けのために他人を貶めたり、他人の金品をくすねたわけでもない。
★「その昔、女優をやってヌードをみせていた、コスプレ風俗ライターをやっていたなどとそんなこまごまとした履歴までなぜ選挙公報に載せる必要があるのか。女優もコスプレ風俗ライターも立派な職業。人生いろいろ、仕事もさまざまなである。我が党は、社会の底辺で生き、果敢に生きてきた人たちの政党。一人の女性、一人の人間があらゆる経験を積みながら社会の仕組みに目覚め、政治に参加することを応援する党でもある。生活が第一の我が党の人材は豊富なのである」と、民主党・鳩山代表か小沢幹事長がもしいうならば、この党を見直したいところだ。
残念ながら、今のところ、そうした大人の声は聞こえてこない。
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