★残暑厳しい8月、最後の週は暗い晩夏となりつつある。
トヨタ自動車の製造ラインの縮小、三越の正社員1000人の削減、三洋電機の希望退職募集と、日本企業は本腰を入れて、正社員の大規模な人員削減にのりだしつつある。
米国本土では07年秋、サブプライムローン破たん、金融危機の顕在化以降、即断即決の人員削減で、雇用者数は19カ月連続で減少。この間、雇用者数は約670万人(米労働省統計累積)が企業から去ったことになる。対する日本の大手企業の多くは、08年12月の派遣、契約社員の雇用打ち切りでなんとかしのぎ、正社員はワークシェア、ノー残業、ノーワークノーペイ日の導入などでなんとか雇用維持をはかってきた。09年8月から10年3月末にむけて、人員削減、リストラはどこまで波及するのか。
★8月24日、日本航空JALは、約4万8000人いるグループ会社の社員の1割、約5000人近くの削減を09年度中に実施する。すでに、経営再建の大きな柱としてきた年金受給者の給付削減、受給者賛同がとれないとなると、さらに国交省と銀行団から強烈なリストラ策を求められる雲行きである。
★8月25日、トヨタ自動車、全世界規模で年間100万台分の製造能力縮小を発表。当面は製造ラインの休止にとどまり、「従業員については、他工場に応援要員として派遣したり研修を実施したりして雇用を維持」(日経新聞8月26日号)
しかし、需要が年900万台規模への回復がおぼつかないとなると、トヨタ伝統の正規社員の雇用維持策、現経営陣はどこまで我慢できるのか、注視していきたい。
★8月26日、老舗百貨店、三越は正社員1,000人規模の人員削減を発表。
40歳以上59歳以下の社員を対象に早期退職の希望者をつのる。その対象は40歳未満にも広げるという。厚生年金基金解散、企業年金廃止、確定拠出年金(DC)導入、過去2度(99年、05年)にわたる人員削減、横浜店の閉鎖、08年の伊勢丹との経営統合、池袋、鹿児島など不採算店舗の閉鎖と経営努力は続くが、国内での業績回復はおもうように進んでいない。ついに痺れをきらしたように正社員の大規模削減に踏み切った。
★8月26日、すでにパナソニックに吸収されることになっている三洋電機、間接部門の縮小や不採算事業からの撤退方針のもと、約1,000人を配置転換し、勤続10年以上、45歳以上の社員を対象に数百人規模の希望退職者も募集を決定。
★8月26日、国内半導体大手、NECエレクトロニクスとルネサステクノロジは09年4月の経営統合を前に、徹底したリストラ策の実施、と日経新聞は報じている。すでにリストラ費用の一部として2000億円規模の支援を親企業である日立製作所と三菱電機は決めている。
★報じられた企業には、何人かの知人、恩人がいる身からすると、彼らの身を案じるとともに、この艱難をなんとか乗り越えてもらいたいと切に願う。
それにしても、幾度か、多くの企業の早期退職、希望退職募集、リストラに遭遇するたびに思うことがある。
1999年以降の企業の正社員リストラの特徴は、ホワイト・カラーと呼ばれる事務管理職、すでに用がないと判断された専門技能職など、年収も地位もミドルクラスの中高年社員がまずターゲットとなる。
この職種、思ったほど転職先が少なく、かつ、職種変えがむずかしい。それゆえに、失業後の再就職の就活は長期戦となる。また運よく再就職したとしても、二次、三次の失業遭難にみまわれる。
★企業は採用と同時に、勤続10年以上、40歳になるまでに、社員に「もうひとつのジョブ・スキル」、「副業ビジネス」の職業訓練を施す必要があるのではないかと痛感する。
確かに、今の仕事のキャリアアップも大切なのだが、40代、50代、高次のキャリアアップをもって新たな企業の中枢に転職できることは本当に限られた人財に限定される。多くのビジネスマン&ウーマンはそういう強運には程遠いのが現実である。どうしたらいいか?
★たとえば設計技術者であればCADを覚えるとともに、週2日はラーメン屋や介護施設などで修業をつづけることを会社の業務研修にもりこむ。即、明日からでも食えそうな職業スキルを身につけておく。これは理想かも知れないが、常に、自分のキャリアスキルに1つから2つの即食える、キャッシュが稼げる職業スキルのポートフォリオを維持していく。
実際にマルチ・ジョブを実践している30代の青年に会った。平日は某大手情報システム会社の営業マン、平日の何日かの夜と土日は臨時プロテニスコーチで稼いでいる。「いつ会社からクビをいいわたされても、食うに困らない技術をみがいている」とのことである。このしたたかさ天晴れである。
大学をでて、この会社のこの技術しかできない人が、40歳でわずかな早期優遇退職金、失業手当90日分程度を手にしたところで、後は一気呵成に「すべり台社会」一直線のニッポンなのである。
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