★過日、ライフプラン研修でこんな質問があった。「まず、保険料の免除申請、それでも足りない老後のお金、最後は生活保護があるからいいではないか?」。普通の勤労者にまで蔓延している「モラルハザード」である。人生最後のライフプランが、「生活保護があるじゃないか」で本当にいいのか、冗談としても、切ない話である。
国民年金の実質納付率45.6%の背景にこうした「気分」があるとすると、この国の未来は本当に「ヤバイ」。
★国民年金1号被保険者の実質納付率46.2%、制度全体の実際の納付率67.6%。それでもニッポンの年金は大丈夫と主張する方々は厳に存在している。
★未納が増えようがどうしようが、年金財政は大丈夫だ!と年金社会保険主義者が主張すればするほど、年金保険料の未納が増大する。
★人々は年金財政が「破綻」しているかどうかなどどうでもよくて、納めている保険料や税金が自分の年金として公平なリターンがあるのか、という点にある。
もちろん、現行制度を前提にすれば、年金は「世代間の連帯」「社会的仕送り」程度のことしか答えようがないのは致し方ないが、彼ら、年金社会保険主義者の文言で気になるのは、年金門外漢である庶民を馬鹿にした木で鼻をくくった物言いである。
★まずは年金制度の守護神であり、当事者だった一人である。
「実際の収納率は70%程度」「金持ちと怠け者が保険料を納めていないだけ」「制度が崩壊していると断じて言えません」(坪野剛司著・「公的年金の不信・不安・誤解の元凶を斬る!」)と、制度の惨状をシカと認めたくない元厚生省数理課長坪野剛司氏。
「金持ちと怠け者」、なかなか明快な解である。
「若いときはなかなか収められなくとも、年齢が上がるにつれて、納付率はたかまるもの」というようなことを坪野氏は筆者に語っていた。国民年金加入者、齢を重ねても納付率はなかなか上がらないばかりか下がり続ける現状をどう解釈するのか聞いてみたい。
★二番は、予備校の先生かつ経済解説書を書く細野真宏先生である。
『劇的に『納付率』がアップしたとしても、年金財政はほとんど変わらない』『未納者が払わないぶんの保険料は「年金積立金からやりくりすれば済んでしまう」(「未納が増えると年金が破綻する」って誰が言った」細野真宏著・扶桑社発行)
★「年金積立金」があるからいいじゃないのと、ハウツー本を書きまくるこの小賢しい予備校教師はいう。この積立金は実質的に厚生年金被保険者のものであって、国民年金未納者のものではないはずである。
★三番は、現行制度の維持を掲げる自由民主党である。
★「公的年金加入者全体における未納者の割合は小さく、また、保険料を払わない人には将来の年金給付も生じないため、年金財政そのものにとって大きな影響はない」(自由民主党機関紙「自由民主」平成21年6月23日号)
この政党の「鈍感力」は、年金問題ひとつとっても、官僚作成の作文をそのまま掲げるところにある。
★なお、余談ながら、現(09年8月25日)自民党総裁の麻生太郎首相は、首相就任前は、年金制度の抜本改革について結構、やる気だったみたいだ。
『この際思い切って基礎年金は「全額税方式」に切り替えませんか。なぜなら年金制度に対する不信感から国民年金の納付率は5~6割程度になっていて、国民皆保険という謳い文句は現実離れしています』(麻生太郎オフィシャルサイト08年3月)「その税源は消費税を5%から10%にして約13兆円を捻出します」と国民年金の税方式化を唱えていた。なかなか理解が進んだと思ったが、麻生太郎さんは首相になった途端に、そんなことは誰が言った!というように頬かぶりをきめこんでいる。
★全国民共通の基礎年金、自営業者やフリーランサーの唯一の公的年金である。率直に言って、彼らにこそ将来の老後、頼れるのは基礎年金なのである。払いたくてとも払えないというのが、約60%強の国民年金1号被保険者の生活の実情なのである。最低限の老後の所得保障、払える人も払えない人も等しく保障する年金制度が必要である。
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