★基礎年金の財源は加入者が払っている保険料ではない。財源は、各制度に注入された税金、運用収入、それが足りなければ資産を取り崩しても用立てる。基礎年金拠出金という財政調整金、制度上納金の実際である。
皆さんの毎月の保険料は、厚生年金ならば現在の厚生年金受給者の老齢・障害・遺族年金をまかなうのに手いっぱいであることを2回にわけて説明してきた。
ならば、各制度の基礎年金上納金はどうやって決めるのか?ある種の人頭税、頭割、割り勘であるが、これがまったく、謎だらけなのである。
★自民・公明党の現行制度維持、民主党の最低保障年金改革、どちらに「未来」があるかどうかを占う前に、基礎年金の財源調達の今のやり方を理解しておきたい。
★平成19年度(2007年)厚生年金・国民年金の財政状況のなかの「基礎年金勘定平成19年度収支状況」によると、
(1)基礎年金の本来分の給付費は14兆4597億円
(2)拠出金算定対象者5728万3000人と設定。
(3)拠出金単価(月額)=(1)÷(2)÷12カ月=2万1039円だが、厚労省が示す単価は月額2万5734円である。この違いはどこからくるのか?
★厚労省はその年度支給する年金給付費を単純に人頭割にしているのではなく、その年度に欲しい拠出額を分母にして人頭割にしているようだ。
(1)基礎年金拠出金17兆6893億円
(2)拠出金算定対象者5728万3000人と設定
(3)拠出金単価(月額)=(1)÷(2)÷12カ月=2万5734円
★次に拠出金算定対象者5728万3000人の設定方法が怪しいのである。その内訳をみてみよう。
(1)国民年金1号被保険者=1041万9000人
(2)厚生年金 加入者2号=3175万8000人、専業主婦など3号=931万8000人
(3)国家公務員 加入者2号=103万2000人、専業主婦など3号=40万2000人
(4)地方公務員 加入者2号=294万5000人、専業主婦など3号=89万1000人
(5)私学教職員 加入者2号=42万人、専業主婦など3号=9万9000人
以上の合計が、基礎年金の財源拠出する現役加入者の対象人数5728万3000人となるわけである。
★各制度からの拠出金の算出は、
各制度の拠出金算定対象者×拠出金単価=基礎年金拠出金
厚生年金は、
4107万6000人×2万5734円×12カ月=12兆6842億円となる。
★さて、上記の数値をみて「ちょっとおかしいのではないか?」と思う人はかなりの年金オタクであるが、基礎年金拠出金の謎は次の3点である。
(1)国民年金1号被保険者=1041万9000人であるが、本来の加入者は2035万4000人である。なぜ、拠出金算定対象者はその半分なのか?
「保険料納付をしている人が対象」ということで、未納、滞納、免除者は除かれているのである。厚生年金や共済年金は加入対象者全員である。なぜか、国民年金だけは、保険料納付者なのである。
ここから不思議なことがおこる。
国民年金1号被保険者、加入者対象者全員2035万4000人で計算してみる。
基礎年金拠出金、一人あたり拠出金単価は月額約2万2千円、年26万4千円、国民年金1号被保険者が制度から上納する基礎年金拠出金は、約5兆3550億円となる。07年度の国民年金制度からの拠出金4兆1151億円より約1兆2000億円増となってしまう。
これでは、国民年金の財政そのものがもたないことになることがわかっていて、人数を恣意的におきかえているのではないかと疑いたくなる。
(2)国民年金1号被保険者は保険料納付者だけで計算する。しかし、厚生年金や公務員などは、それぞれ保険料納付をしていない専業主婦など3号を「拠出金算定対象者」として拠出金計算の人数に入れられている。なぜ、同じように計算しないのであろうか?
(3)専業主婦など3号の基礎年金は、保険料納付をする必要がない。昭和61年4月にこの制度を新設したとき、「専業主婦も立派な職業。離婚してもつなげる自分名義の年金をもつ。これは制度全体で支える」という主旨であった。
実際は生計維持者である夫が帰属する年金制度内の加入者で分担することになっているが、国民年金1号被保険者と同じように厚生年金の保険料納付者だけ3175万8000人で拠出金計算をすると、
民間勤労者は一人あたり、月3万3283円、年約40万円の基礎年金拠出金を融通していることになる。
この金額、現行の国民年金保険料(09年度月1万4660円、年17万5920円)よりはるかに高い。もちろん、このことは毎月の給与明細書にも、「ねんきん定期便」にも明示されていない。
基礎年金の財源、社会保険料方式、賦課方式、税方式、どれが良いとか悪いとか論議の前に、現状の拠出金の在り方、きわめて、曖昧かつ不明朗と思うのは筆者だけだろうか?
月6.6万円、年72万円の満額の基礎年金、ニッポンの老後、最後のセイフティーネットである。この制度の独立した財源、全国民公平な負担、盤石な財政。基礎年金の再構築、焦眉の急をつげているはずである。
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適格年金のやめ方