★全国民共通の基礎年金は、制度独自の財源をもっていない。07年度で総額18兆1518億円の給付費は、厚生年金、国民年金、国と地方の公務員共済年金、私学共済年金、各制度からの「上納金」としての「基礎年金拠出金」によってまかなわれている。公的年金の研究者、「年金制度は誰のものか」の著者・西沢和彦氏は「奉加帳方式」と呼んでいる。
制度ごとに、あなたのところは今年は幾ら寄進してくださいというお寺やお宮の集金方法と同じだというのである。ただ、今年は物入りが多いのでご勘弁をと言い訳して寄進や寄付は断れる。
しかし、基礎年金拠出金は断れない。各制度とも公的年金制度であるから強制上納金というよりも法令によって決められた収納システムとしての上納金である。
★問題は、独自の給付財源をもたないままに各制度の上納金システムをよりどころにした基礎年金制度として持続させることが本当に「健全」かつ「公平」なのか、ということである
障害・遺族・老齢という生活クライシスの最後の拠りどころ、余りにも危い基盤にあるのではないかということである。
★厚労省年金局数理課が公表している平成19年度(2007年)厚生年金・国民年金の財政状況のなかの「基礎年金勘定平成19年度収支状況」「基礎年金の制度別、給付状況及び負担状況」という決算報告書がある。
各制度からの基礎年金拠出の上納金の振り分けは次の通りである。なお、厚労省年金局数理課が公表している決算データ、幾つもあって、それぞれ数字が異なる。どれか一つに集約してもらいたいものだ。
★負担している基礎年金拠出金の内訳は
(1)厚生年金12兆6233億円
(2)国民年金4兆1151億円
(3)国家公務員4417億円
(4)地方公務員1兆1687億円
(5)私学教職員1592億円
(計)18兆5080億円
★基礎年金給付費は
(1)基礎年金本来分14兆4597億円
(2)旧法分3兆6922億円
(計)18兆1518億円
★負担と給付がほぼ見合う基礎年金勘定である。しかし、各制度とも基礎年金拠出金、この上納金を用立てるに各制度の保険料では賄い切れていない。
各保険料収入・各制度給付費の収支をみてもらいたい。
(1)厚生年金:保険料21兆9691億円-給付22兆3179億円=▲3488億 円
(2)国民年金:保険料1兆8582億円-給付1兆6862億円=1720億円
(3)国家公務員:保険料1兆350億円-給付1兆6734億円=▲6384億円
(4)地方公務員:保険料3兆358億円-給付4兆3503億円=▲1兆3145億 円
(5)私学教職員:保険料3049億円-給付2241億円=808億円
★2007年度の各制度の決算状況は、運用収益はオール損出計上、収支残はマイナス、全体で▲7兆4132億円のマイナス決算であった。
★ならば基礎年金財源は、どうなっているのか?
国庫負担7兆6847億円、公務員共済への特別費用1兆5000億円、交付金3兆9316億円、恐らくここまでは税金投入約13兆円となる。
そして、年金積立金を取り崩しているのは、厚生年金3兆9853億円、国民年金1490億円である。なぜか、収支残赤字計上の公務員共済は積立金に手をつけていない。
全国民共通の基礎年金といっても、民間勤労者の厚生年金の積立金の取り崩しがリスクバッファーにあるから言える話なのである。
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