★「年金たまご」とはなかなか楽しそうなネーミングを考えたものだ。「たまごっち」を連想させ、自分で増やせるような錯覚と遊び心を誘発する。その昔、某大手厚生年金基金の情報誌に同様の誌名案を提案して、ボツにされた身としては複雑な思いだ。7月22日、東京都墨田区の健康商品販売会社「ライフ・アップ」(田沢吉美社長)は警視庁に出資法違反(預かり金の禁止)の疑いで捜索された。
★読売新聞のネット配信記事によると、「年金たまご」事件は次のような仕組みのようだ。
『会員になると、毎月1万3500円(初回のみ1万9000円)を支払い、ブルーベリーやコラーゲンなどの健康食品を購入すると、22か月後には毎月最大で50万円を受け取れるとうたった販売システム。初年度に3万5500円の赤字になるが、同社は会員向け資料で、「2年目になると283万円、3年目は609万円を受け取れると宣伝していた』。
★06年10月から3年間で会員約5万人、集めた資金は総額数10億。
もし詐欺商法だとすると、過去のオレンジ共済や豊田商事事件、最近のFX商法などと比べれば、「可愛い」騙しのシステムだが、なぜか、この手の商法には独り住まいのお婆さんや、おばさん、お爺さんが乗りやすい。しかも、元教師という人がなぜか多いという話を、先週、自称「元刑事」だったという人から聞かされた。
★自称「元刑事」氏曰く
・詐欺商法をやる人間は、一貫してその商法に携わっているプロ・キャリアである。
・昨日今日、はじめた人間ではなく、その時代ごとにビジネス・モデルを考案する。自分たちは「実業家」とおもっている。ネズミ講、別荘分譲、豊田商事、AW、商品先物、霊感、ワンルームマンション、健康食品、未公開株、プライベートバンク、FXと常に時代の先端を歩いている気分になっている。
・1980年代は金の先物詐欺・現物取引まがい証券詐欺、ワンルームマンション、那須の土地開発、霊感商法など。1990年代はオレンジ共済、種牛投資、海外不動産投資、自己啓発セミナーなど。90年代後半からは健康食品、FXが主流になってきた。
・どういう人が騙されるかというと、おひとり様のお婆さん、お爺さん、お姉さんであり、かつ「小金持ち」。70歳以上で年金受給者は、まず、数百万円以上の預金はもっている。
・おひとり様攻略の担当営業マンの特性もよく考えられているそうだ。お婆さんには30代の孫ぐらいの青年。お爺さんには髪の長い藤原紀香風の女性、お姉さんには地井武男風の伯父さんとなるようだ。特に、お婆さんを担当する青年営業マンは、「KO大卒」と偽りKOボーイ風(歯が白く、黄金色の肌、髪は七三、加山雄三風)が効果的とか・・
・お近づきなるきっかけは、「今日は、この度、○○地区を担当しました××です。今日は●●様にお試の品をおもちしました。一度、お使いいただきご意見をお聞かせいただくだけで構いません」とくるそうだ。ほぼ毎月、訪問、その度に「手土産」を持参。自分の両親のことなどを訥々と語る。時には、肩を揉んでやったりする。
・お金はあるが、人恋しい、淋しい、話し相手が欲しい。こういう人は、これは詐欺だと思っても、「どうにもとまらない」そうだ。
★恥ずかしながら、我が身、我が親族、我が知人の「詐欺被害史」から幾つかの教訓を紹介して、他山の石としていただきたい。
・ご自宅に金粉がふっていると、突然、玄関先に舞い降りた変な伯父さんに、紫色の風呂敷に包まれた「念仏棒」を買わされた。(我が実母。父が亡くなって暫くしてから機をうかがっていたようだ)
※教訓:遠く故郷に独り残された母には、毎日の電話やFAX、メールを入れてあげたい。
・旧友の誼で株主になってくれないかと依頼をうける。当然、紙くずとなると半ばおもいながら、情にほだされて出資をする。案の定、あっという間にドロンされる。(我が身、10年前の不覚)
※教訓:旧友、親友、知友、ともかく友人からのこの手の話は捨て銭、寄付、手切れ金である。
・「先生、困っています。今月ノルマが達成できないとクビになってしまう」と、元教え子に泣きつかれ、商品先物に手を出し、将来のためと購入していたマイホームの土地をついに手放すはめになった(我が親族。元教員)
※教え子、実の子、ともかく「子」に弱くなる中高年。心を鬼にしないと財産は守れない。薄情も情のうちである。汝、艱難は玉とする、という言葉を「子」に贈りたい。
・大学時代のラグビー部先輩Hが起業。後輩のW君は定年後に役員でむかえるからと先輩に言われ、将来の老後資金にとたくわえてきた数百万円を出資。数ヵ月後にこの先輩Hは失踪。これは大学時代の体育会出身者によくある話。結局、この数百万円の株券は、人生最悪の選択として額縁にいれているそうだ。(我がR時代の友人W氏。今はこの事件にめげず生涯現役の気持ちで働いている)
※教訓:学生時代の先輩・後輩の関係でお金の貸借ほど怖いものはない。やはり、生涯の友でありつづけるならば、お金の貸し借りはなしでやっていきたい。
★霊感商法、会員制健康食品、別荘地分譲とよく騙されてきた我が実母曰く
「お前、人に騙されるのも功徳のうち。人を騙すより、騙される方がどんなにいいか」と・・・。この言葉、身ぐるみはがされるまで騙されず、功徳の範囲で騙されてやるという御一人様で頑張る老女の心意気なのかと思いたい。
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