★紺屋の白袴である。人々の年金プランの支援をしてきて35年である。いざ自分の年金請求となるとドジで間抜けである。注意深く、事前準備した割には詰めが甘い。
それを教訓に、年金請求の実際を紹介しておきたい。
なお、年金請求ができるのは誕生日の前日からである。添付書類発行日付も誕生日の前日以降のものでなくてはならない。その前のものは、受け付けてくれない。
●教訓1:加給年金はもらえなくとも『住民票』を添付すべし
★事前に社会保険庁のコールセンターに電話をして、添付書類の確認をした。
「妻は現在61歳の年金受給者である。自分が加給年金をうけられる権利をえるのは65歳。当然、その時の妻は66歳。従って、妻は国民年金の老齢基礎年金をうけるので自分は加給年金をうけられない。しかし、妻の老齢基礎年金には振替加算がうけられる。その場合、60歳時の年金請求では、『戸籍謄本』だけで、生計維持証明となる『住民票』は必要ないですね」
社保庁コールセンターの答え「その通りです。よくご存知ですね」
★朝9時、街の区役所で戸籍謄本、戸籍抄本(厚生年金基金=企業年金請求用)を取得。降りしきる激しい雨のなか、歩いて10分ほどの社会保険事務所へ。年金相談コーナーで待つこと30分。次ぎの書類を提出。
1、年金裁定請求書
2、戸籍謄本
3、年金手帳
4、妻(配偶者)の確定申告書の写し(本来なら「非課税証明書」を区役所で取るが、配偶者が確定申告をしていれば、その写しでOK)
5、ねんきん定期便の回答票(念のために持参)
6、年金振込み銀行の通帳(本来なら年金裁定請求書にある振込み先金融機関欄に銀行の認めをもらってくるが、銀行通帳の本物を持参すればOK)
社会保険事務所職員は、一項目ごとに確認印を押しながら入念にチェック。
さて、ここで社会保険事務所職員から「『住民票』はないのですか?」といわれる。
「社会保険庁のコールセンターに事前に聞いたら、今はなくとも良いとのことでした」
社会保険事務所職員の答え。
「困ったわね。社会保険庁コールセンターでそう言ったならそうなのですが、あなたが65歳になった時に、またここに来て『住民票』を持参してもらって手続きが必要になるのよ。今、『住民票』をだしておけば、あなたが65歳になったとき、自動的に奥さんに『振替加算』が支給になる」「すぐに、区役所に行って、『住民票』をとってきて、私に渡してくれれば、今日一日ですべて済みますよ」
このやり取りは、約20分。時間はすでに、午前11時半をまわっていた。
●教訓2:住民基本台帳コードを事前に調べておけば、無料の住民票ですんだのに!
★社会保険事務所職員のアドバイス「ところで、あなたの住民基本台帳コードわかりますか?」
「そうでした。それは忘れました」と本人
社会保険事務所職員のアドバイス「なくともいいのですが、もしわかれば、年金裁定請求書に記入しておけば、これから、年金受給者の生存を確認する毎年の現況届が必要でなくなりますよ」
★ふたたび、降りしきる雨の中、区役所の戸籍課にとってかえす。家族全員記載の『住民票』を申請するが、ついでに「住民基本台帳コード」付きを求める。
年金請求に関する戸籍謄本、戸籍抄本、住民票は、原則無料である。しかし、住民基本台帳コード付き『住民票』は300円の印紙代が必要とのことであった。
★急ぎ、社会保険事務所に取って返す。年金相談コーナーは午前12時前の慌しい時である。先の職員氏は相談業務中である。待つこと約10分。件の『住民票』を渡す。
社会保険事務所職員氏曰く「この『住民票』は300円かかってしまいましたね。申し訳ありません。最初の『現況届』のときに住民基本台帳コードを届ければよかったと、申し上げなかったみたいですね」「これは、今、コピーをとって、それを添付します。原本お持ち帰り下さい。他に使うこともできます」「はい、これで完了です。受領書です。ご苦労様でした」
以上、国の厚生年金・国民年金請求手続きは完了。
総じて、社会保険事務所の末端職員、とくに相談コーナーのベテランのご婦人達は、じつに一生懸命で親切である。いかに相談に来る人にとって、「有利かつ有効な方法はないか」という視点で相談をしているということを感じる。
昼休み前、出口で社会保険事務所の所長らしき「おっちゃん」が、背筋正して、帰るお客に深々と、笑顔で頭を下げていた。変われば変わるものだが、社会保険事務所は、今やニッポンの行政窓口の鏡。官庁のホテル・リッツ・カールトンである。
時間はすでに13時を回りはじめている。ところが、年金請求手続きはまだ終わらない。企業年金連合会、裁定請求書の必要な「銀行印」を銀行にもらいにいかなくてはならない。雨は未だ止まず。
教訓3:企業年金連合会の減額された「一時金額」の謎。その「謎」を解明することなく請求してしまった
★社会保険事務所から歩いて10分にところにある銀行に行く。
「この年金請求書に貴行の印鑑をもらいたいのですが・・・」と銀行の窓口で企業年金連合会「老齢年金裁定請求書」を提出。
通帳、印鑑、自動車免許書を提示して「銀行の証明印」の押印を申請。
銀行は混んでいて、なんと、待つこと約30分。
★銀行をでてから郵便局へ。下記の書類を「配達証明」郵便で郵送手続きをとる。時刻はすでに15時寸前であった。
1.「老齢年金裁定請求書」
2.加入員証のコピー
3.戸籍抄本
4.年金手帳の基礎年金番号印字ページのコピー
5.念のために「年金支給義務承継通知書」のコピー
★郵送した後に、あらためて企業年金連合会から通知書を確認してみる。アッと驚くなんとかである。厚生年金基金脱退時に送られてきた「脱退一時金相当額」は約92万5千円であった。60歳寸前に送られてきた「保証期間付き終身年金について」という書類にある「すべて一時金」を選択すると、その額は約86万9644円となっている。約▲5万5000円も減っているのである。この「謎」はなんのか?これをよくも調べないうちに、「年金請求」を郵送してしまった。
★「年金請求の前に、自分の年金額がこれでいいのかどうか、よく確認してから提出」と日頃言っている自分であったから、我が身の迂闊さ、まったくお粗末である。
この減らされた「一時金」の謎、何人の方々から聞いてきた「企業年金連合会の一時金はおかしい」という「噂の真相」にあらためて気がつくこととなった。
★さて、「年金請求」の所要時間は、朝9時から午後15時として、約6時間。前夜の書類記帳などで1時間。任務遂行時間は、7時間で完了であった。
経費は、交通費300円+住民票300円+配達証明郵便代860円=1460円であった。
結構くたびれ果てた年金請求の一日であった。すでに、時間は15時過ぎ、雨はあがり、すっかり夏の暑い日差しとなっていた。
年金について多少の心得がある者ならいざ知らず、最初で最後の「年金請求」に遭遇するほとんどの人たちにことを想う。年金請求は人生、一大事である。
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