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ゼネラル・モーターズ(GM)、企業年金の顛末雑記

★今のところ経営破綻したゼネラル・モーターズ(GM)の企業年金処理を詳細に報じるメディアはない。唯一、日経新聞6月2日号の記事に、「過去15年間で1000億ドル以上払っていた年金・医療費の負担も減る」「GMの工場労働者(1人当たり・時給換算)は今まで日本勢に比べて約20億ドル多かったが、医療費債務なども切り離す新生GMなら日本勢に太刀打ちできる」といった断片的なのものしかない。

★ここは、昔のノートを引っ張りだしてみる。

★1999年代頃まで日本の企業年金の世界では、誰もがゼネラル・モーターズ(GM)の年金基金の運営をひとつの目標にしていた。
93年から95年の間に会社は224億ドル(約2兆円強)を拠出、時あたかもITバブルによる株高、期待収益率10%をしのぐ運用利回り。
ゼネラル・モーターズ(GM)の年金基金は、一瞬のうちに資産超過を達成。ついには、コントリュビューション・ホリデー(企業拠出休止)に到る、年金基金パラダイスに近づいた、などという人もいたほどだ。対する日本の企業年金は、マイナス運用、積立不足の増大、企業掛金の増大、退職給付会計導入。企業経営の足枷となっていた。
さらには、年金基金の自主運用から派生したGMの金融子会社、GMACの躍進など、企業のプロフィット・センターとしてのGM年金基金の姿を、あるべき企業年金としてまぶしくみていたものだ。

★残念ながら、ゼネラル・モーターズ(GM)の年金基金が潜在的にもっていた宿痾を分析した専門家といわれる人は誰一人として、筆者が知る限りいない。
ここは自戒を込めて言う。年金制度が恐いのは、一瞬の年金運用の勝利があたかも全ての問題を解消し、制度は未来永劫、持続するかのような幻惑をもたらすことである。

★世に言う、年金の専門家とて、それほど賢くもないし、先見性に富んでいるわけでもなく、フツーの庶民と同じように、起きている事象に一喜一憂してきただけのことだ。ただ違うのは、それに小難しい専門隠語をちりばめる知識があるだけである。

★さて、2000年ITバブル崩壊、金利低下によって、一瞬のうちにGMの年金基金は、ふたたび積立不足の王様に転落。2002年末で確か250億ドル近い(約2兆5000億円)巨額積立不足であった。03年の6月には、会社はなんと176億ドルの社債を発行。その全額を年金基金に拠出とあいなったわけだ。

★同じく日本では、GMの年金救済の起債という手法をまねたのか、ゴーン社長の日産自動車は約2300億円の社債を発行し、退職給付信託を設定。年金資産の積立比率を高め、年金資産運用の効率化、受給権確保のための企業の叡智と評価した金融機関のお雇い年金専門家や年金コンサル、自称年金博士がいたりした。

★これは、退職給付債務を社債=長期負債に置き換えただけのことで、企業年金制度の根本的解決にならない。当時、退職給付債務の重圧に喘ぐ多くの企業、その企業年金改革の手助けをしていた当社は、こうした起債は問題の先送りでしかないこと、退職給付債務そのものを縮小、縮減、消滅させない限り、企業の存続もないことを訴求してきた。

★真に従業員福祉を考えるなら、企業の存続基盤を強化し、雇用の継続をできる範囲で優先するのがフツーの経営であると思う。企業年金は企業にとって事業ではない。あくまでも企業の儲けから派生したベネフィットでしかないことを、ゼネラル・モーターズ(GM)経営破綻は教訓として残してくれた。ドラッカー先生が名づけた「米国版年金基金社会主義」は終焉をむかえた。

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2009年06月02日 23:26に投稿されたエントリーのページです。

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