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年金、世代間格差をながめてみる

★2010年度から60歳以上の人の年金は20%カット。こうならないと、年金世代間格差は縮みようがないの現実である。かといって、政治のリーダシップがこんなことをしようもなら、北朝鮮のような軍事独裁国家でもない民主主義の国では、政権維持はままならない。5月26日、厚労省は社保審年金部会に公的年金財政検証の追加試算を報告した。

★「70歳=6.5倍、30歳=2.3倍」「払った保険料の何倍受取れるか」「年金世代格差くっきり」と、日経新聞5月27日号は張切って報じている。
現在70歳(1940年)生まれの夫婦は900万円の保険料で年金給付総額は5600万円。30歳(1980年)生まれの夫婦は2045年時点で3000万円の保険料で7000万円の年金給付総額。

今の年金受給者と60台前半の団塊世代は、これでも足りないと思いながらもホットし、40代、30代、20代は「やってられないよ」とシラケてしまうのであろう。

そんな年金財政検証の世代間格差試算にどんな意味があるのか?まずは、「世代ごとの保険料負担額と年金給付額について」という表をながめてみよう。

詳細は、厚労省ホームページに資料が掲載されているのでご覧いただきたい。
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/05/s0526-6.html

★この試算には幾つかの前提がある。厚労省の考え方をまとめておく。

(1)夫婦同年齢
(2)夫は20歳から60歳まで厚生年金加入、平均標準報酬月額42.9万円
(3)妻は厚生年金加入期間はなく、夫の厚生年金期間は専業主婦(「S61年度からは20歳以上なら第3号被保険者、それ以前は国民年金の任意加入なし」とある)
(4)年金受給期間は、それぞれの60歳時点の平均余命まで生存したとし、妻は夫の死後の遺族年金もふくめている。
(5)下記に示すそれぞれの保険料額、年金給付額は65歳時点の価格で、それをさらに物価上昇率(1.0%)で現在価値(2009年度)に割引いたものである。(実際のデータは名目額も併記してあるが、ここでは「感覚的」に負担額と給付額の世代別変化をとらえてみたいので「現在価値」のデータを示す。
(6)保険料額は厚労省提示のものは、本人負担分だけである。これは、会社負担も加えないと不自然である。なぜならば、会社負担の厚生年金保険料は本人に帰属する報酬の一部である。したがって、本人負担分の2倍で計算した。

★世代ごとの保険料負担額と年金給付額 ( )は給付額/保険料額
(1)70歳(1940年生)=保険料1800万円:年金給付額5600万円(3.1倍)
(2)60歳(1950年生)=保険料2400万円:年金給付額4700万円(1.9倍)
(3)55歳(1955年生)=保険料3000万円:年金給付額4900万円(1.6倍)
(4)50歳(1960年生)=保険料3600万円:年金給付額5100万円(1.4倍)
(5)45歳(1965年生)=保険料4200万円:年金給付額5600万円(1.3倍)
(6)40歳(1970年生)=保険料4800万円:年金給付額5900万円(1.2倍)
(7)35歳(1975年生)=保険料5400万円:年金給付額6400万円(1.2倍)
(8)30歳(1980年生)=保険料6000万円:年金給付額7000万円(1.16倍)
(9)25歳(1985年生)=保険料6600万円:年金給付額7600万円(1.15倍)
(10)20歳(1990年生)=保険料7200万円:年金給付額8300万円(1.15倍)

★こうした試算データは、今はじめて公開されたものでない。筆者が知る限り1999年財政計算にともなう法律改正論議のなかで、「拠出給付比率」として提示された。その時は、世代別に保険料負担額は上がり、給付総額は引下げられる試算であった。

★例えば、70歳(1929年生)=保険料負担1200万円(本人600万円):給付総額6800万円、20歳(1979年生)=保険料負担6000万円(本人3000万円):給付総額4900万円となっていた。2009年の「世代ごとの保険料負担額と年金給付額について」と何が違うのか?経済的前提の賃金上昇率、物価上昇率、運用利率、平均給与、平均余命、そして現在価値の割引率が全く違うというのが厚労省のご意見なのだろう。
しかし、20歳の場合で、今回の試算と比べてみて欲しい。10年経過して、年金大本営発表のデータがこうも違うと、世代間格差データからあれこれ論議するのもばかばかしいものがある。

したがって、今回の世代別の年金格差比較も額面通りに「信じられるのか」というと、年金は時代の流れのなかで、ただ彷徨い続けているとしかいえない。

★確実なことは、給付抑制ドライブはとめようがないということを厚労省ならびに現政権は発信しているだけのことである。しかし、民主政治の根源ともいえる大衆迎合主義からしたら急速に給付削減はやりたくてもできない。だらだらと給付抑制と保険料引き上げを後代に先送りする。当然に若い世代は年金嫌いになる。

★若い世代にとって、公的年金の負担に対して見合う年金給付が、「投資商品」として、有利なのか、不利なのか、まったく魅力のないジャンク債のように感じている。せめて、これ以上保険料を取らないで欲しいというのが本音だ。少々の給与を引上げても、最近はトンと喜ばない。その分、保険料負担が増え手取りが変わらないのである。

★今回の「世代ごとの保険料負担額と年金給付額について」の負担額であるが、実際には基礎年金の給付の半分は国庫負担という税金負担がある。これも、国民が負担していることになる。負担というならば、たとえ仮定的な推定計算の域をでない代物ならば、税負担を加えたものも加えて出してもらえないと、本当の負担と給付の関係が見えてこない。

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2009年05月28日 06:30に投稿されたエントリーのページです。

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