★長期金利が急ピッチで上昇している。米国の10年物国債利回りは、「先週末、3.45%と半年ぶりの高水準」と日経新聞5月25日号は一面トップで日米欧の金利水準の変化を報じる。
半年前といえば08年9月のリーマンショックがあった時であった。08年9月の米国債10年物は3.89% 、10月は3.69%、それが08年12月には2.42%まで下落したわけだから、この3月以降の金利上昇は、「どうしたのでしょうか?」なる。
★同紙の分析では、一体、なぜに、にわかに金利反転なのか、あれもこれもが良くないのでと言ったような、よくわからない節回しの文章である。ここは、ひとまず、日本を代表する経済紙の記者の視点を整理しておく。
(1)世界経済の底入れ期待(債券を売って、株を買う動きに変化?)
(2)各国の財政赤字拡大・国債増発・積極的な財政出動・財源措置のための国債増刷
(3)国債格下げへの懸念拡大から世界中で国債が売られる展開
(4)国債の売り・金利の上昇・国債価格の下落・さらに金利上昇
(5)ニッポンは「(団塊世代の退職などで)貯蓄率が低下」(タダ同然に調達できる庶民の預貯金が減る分、銀行は貸出金や運用資金を高いコストのものをみつけなくてはならない)したがって、「金利は今後上昇しやすくなる」(GS証券・山川哲史氏の談話・日経同紙より)
(6)「景気回復力が弱い段階で金利が上がる“悪い金利上昇”」と日銀関係者の談話(日経同紙より)
★すでに、ドイツ国債10物利回りは3.46%、「昨年末に比べて0.5%強上昇」と同紙は伝えている。日本の10年物国債利回りは08年12月の1.165%から09年3月末1.34%から1.43%水準に上昇。世界の金利水準からすれば、まだ低い日本の長期金利ではある。この先、預けてラッキー、借り手不安の状況に転化するのか?
★参考までに直近過去10年の長期金利が上昇したのは、1999年1月から1999年6月頃までの2%から1.6%。
その同時期の日経平均株価は1万6628円台から1万5830円台。為替は1ドル127円から139円台の円安。相次ぐ国内金融機関の破綻のなか、そうとうに厳しい経済状況であった。ここから、海外投資家が禿鷹の如く、ニッポンにドット進撃してきた頃でもあった。
★この10年前と今と、決定的に違うのは、一国経済危機から世界同時経済危機にある点ではある。しかし、最近なぜか、欧米外国人が日本居住を清算、祖国に帰還する姿を目の当たりにする。すでに、なにをやってもニッポンでは稼げなくなったのであろうか?
★25日公表の政府の5月月例経済報告。輸出、生産、回復の気配あり、「直感的には1~3月が日本経済の最悪の時期で、それから若干明るい兆候が見え始めのではないか」と与謝野経済財政相(朝日新聞5月26日号)。しかし、雇用情勢はさらに悪化状況にある。失業率は4.8%、前月より0.4ポイント上昇、推定失業者数は350万人から400万人に水域に近づいてきたともいわれている。
★急激な金利上昇が、突然のインフレに転化するわけではない。しかし、我々の経済の足元は、景気回復の低迷、雇用の減少、物価の上昇が共存するスタグフレーションの危機を内包したものだと、あらためて警戒していきたい。
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