★長寿リスク約9100万円は、夫婦のうちどちらかが85歳まで生きた場合である。
90歳まで生きれば1億円をはるかに超えたものになる。それだけのお金がどこにあるのか?と誰もが疑いの目を持つ。ところが、その半分、もしくはその6割程度は「年金」という形で「含み資産」としてあるのである。老後の不安の最大の元凶は、含み資産としての「年金」がみえないところにある。
★2009年4月からはじまった「ねんきん定期便」の良いところは、この「含み資産」としての「年金資産」を個人ごとに明示している点である。
★58歳のあなたが「ねんきん定期便」を受取ったとして、みて欲しいのは、見込み年金額、これを20年間受取った場合の受取総額の欄である。見込み年金年額を09年の平均年金額から類推するに、1949年4月2日生まれ以降の男性で60歳からの老齢厚生年金80万円、65歳からの老齢基礎年金60万円とした場合、85歳まで生きたとすると、
・老齢厚生年金80万円×25年分=2000万円
・老齢基礎年金60万円×20年分=1200万円
もし、単身者であれば、3200万円ということになる。
夫婦の場合で妻が厚生年金期間がゼロであれば、
・妻の老齢基礎年金60万円×20年分=1200万円を加えて、4400万が夫婦の将来受取想定額となる。夫婦がともに90歳まで生きるならば、5400万円となる。
★上記の見込み年金額は、受取額の将来の増減(マクロ経済スライド)や年金の家族手当である加給年金や振替加算は見込んでいない。また、上記の数字はあくまでも平均年金額であるから、単身者で3200万円、夫婦で4400万円、国民年金だけの老夫婦で約2400万円,
ごく平均的な日本人の年金水準といえよう。
★国の平均的年金額を受取る夫婦で、夫80歳、妻85歳までとすると、将来受取年金総額は約4400万円。長寿リスク約9100万円に対して▲4700万円が国の年金だけでは不足することになる。
ただし、ここで留意が必要。長寿リスク約9100万円の内訳は、前号で紹介したように、あくまでも「基礎生活費月19万円」が前提である。夫婦で旅行に行ったり、家を増改築することを考える場合、その資金を長寿リスク約9100万円に加える必要があることをお忘れなく願いたい。
★平均的年金額の夫婦で、将来受取年金総額は約4400万円。長寿リスク約9100万円に対して▲4700万円の不足額となる。この不足額をなにによって埋めるのか?
ここから、人々の老後設計はさまざまな「違い」があきらかになるが、ひとり一人が「目標家計バランスシート」を持ち、不足する老後資金を確認する手法さえもてば、長寿リスクはそんなに恐いものではないことも言い添えておきたい。
ただし、国や企業の年金だけで老後は何とかなるとお思いの方は、余程の倹しい生活を若い頃から鍛錬しておかなくてはならない。
★幾つかの事例から、個人が準備しておきたい目標老後資金額を探ってみたい。
(1)企業に40年近く勤めた人であれば企業年金か退職金が1500万円から2000万円になる。不足額▲4700万円-(退職金・企業年金、1500万円から2000万円)=▲3200万円~▲2700万円。この不足額を個人の金融資産が2000万円程度と住宅家屋資産で埋められれば、85歳ぐらいまでならなんとかなる。
(2)どうしてもこんなに資産がないとなると、60歳からも働くことになる。手取り年収200万円ぐらいの働き口があれば、65歳まで5年働ければ、約1000万円、不足額▲2200万円~▲1700万円となる。最後の最後、500万円程度預貯金と住宅家屋を手放して老いを生き切る覚悟があればなんとかなる。
(3)幸せな老後をお金から考えると、年金資産5000万円、金融資産5000万円、住宅家屋2000万円、総額資産1億2000万円。ここらあたりがひとつの目標といえよう。そして、無借金で長期の入院療養もなく、一汁一菜の三度の食事、穏かな暮らし、そんな老後を創れるならば、金融資産5000万円の多くは、子孫に残すこともできる。
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