★我が街での光景である。男の井戸端会議が街の辻ごとでみることができる。歳の頃、60歳台前半の親父たちである。朝はパジャマかトレーニング・ウェア、昼過ぎ午後からは野球帽にTシャツとジーパン。なぜか、着ているものは、皆さんユニクロ・ファッションである。ここ数年の街の不思議な風物詩である。この親父たちの年金額、そしていったいどのくらいの生活費でやっているのか。男の井戸端会議、その参加者でよく知る一人にそれとなく聞いてみた。
★年金は63歳になった今年から満額年金。約20万円前後だそうだ。その他に「少しの企業年金が数万円」。月々の生活費は?「そんなにかかんないよ」というのが答えであった。「そんなに」の「その基準」が明確ではないが、恐らく、ほとんど「でかけることもない」ことから、ほぼ、「基礎的生活」のみではないかと類推できる。
★総務省の老後生計費調査になんらかの「調整」を加えないと、より「一般的」な「老後の生計費」が見えてこない。
★総務省の老後生計費の月額28万から交際費やその他(理美容・小遣い等)の個人の好みや嗜好に左右される「選択的消費」を除いたものを、基礎的な老後生計費という概念でくくってみよう。この「基礎的生活費」を「健康で文化的」に、生きていける生活コストと考えてみたい。
★60歳から69歳での「基礎的生活費」は20万2千円。なお、総務省2008年度の総世帯の平均消費支出での60歳から69歳では、約19万4千円であるから、基礎的生活費は約19万円から約20万円のレンジということになる。その内訳は、09年3月の総務省家計調査データによれば下記のようになる。
★支出項目:平均消費支出
1>食費:67,679円
2>光熱・水道:26,668円
3>家具・家事用品:8,528円
4>被服および履物:8,827円
5>保健医療:14,505円
6>交通・通信:36,214円
7>教養娯楽:28,502円
8>交際費:(選択的消費として除く)
9>住居費:11,173円
10>その他(理美容・小遣い等):(選択的消費として除く)
合計:202,096円
★もちろん、基礎的生活費、約20万円前後、この金額で十分という人もいる。夫婦二人で「食って、テレビ観て、薬のんで、寝る」だけの生活ではないかと言う人もいる。生活の質は、人それぞれである。
★ここで提案したいのは、老後生活設計の前提として、人それぞれの「自分なりの基礎的生活費」を組み立ててみることである。その上で、毎日の晩酌のビール代、理髪やペット犬の餌、友人とのゴルフ代、これら「文化的」生活素材をどこから生み出すか。生活を楽しむ秘訣は、やはりお金のやりくりの工夫にあるのはいつの時代も同じだ。
★なお、同調査から70歳以上の夫婦家庭の「基礎的生活費」は、18万1216円、約18万円前後である。
★さて、初老の男達の井戸端会議である。女性達からみれば、「昼日中からいい親父がなにやってるのよ」ということになる。しかし、これはこれである種の「社会的効用」があることを最近知った。
街の辻に集う初老の男達と、鍵っ子たちとの交流である。学校帰りの子供たち、お母さんもお父さんも働きにでていて誰もいない。「お帰り」と声をかける初老の男達、子供たちは「ただ今」と答える。いつからか、孫と同じぐらいの子供たちと初老の男たち、いつからか、キャッチボールをやったり、サッカーをやったりと、微笑ましい小さな地域コミュニティーが生まれているという。
★期同じくして、クリント・イーストウッドが監督・主演を務めた映画、「グラン・トリノ」を観た。孤独な頑固老人と隣に引っ越してきたアジア系移民一家の少年タオとの友情と、老人の生と死の物語りであった。 どこの国でも、老人達の役割は、子供たちを支援するところに美しさがあるようだ。
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