★まったく意味がない税制改正という街の声がある。
麻生首相、ご自慢の第三次補正予算の目玉のひとつ、住宅資金贈与の非課税枠610万円への拡大は、誰が喜ぶのかを考えてみたい。
「相続時精算課税制度」という制度をご存じの方は、親から子に住宅資金を贈与する時、この制度で使える住宅資金特別控除1000万円+特別控除2500万円を申告すれば、合計3500万円まで税金はとられない。
相続時精算課税というように親が亡くなった場合には、その2つの特別控除額と他の遺産は合算されて相続税課税の対象になる。しかし、妻と子供2人が残された場合、相続資産8000万円までは相続税はかからない。フツーの庶民の家族で相続資産8000万円以上となるとかなりのお大尽である。また、配偶者の相続税の軽減措置は相続財産1億6000万円まで控除となるので配偶者が相続税を払うというケースはきわめて稀である。
★「相続時精算課税制度」の特徴は、親から子供(20歳以上)という決まりがある。祖父母から孫の場合は使えない。
今回の税制改正、住宅資金贈与の非課税枠610万円は、祖父母から孫のケースには使える。ということは、この税制改正は、お爺さん、お婆さんがシッカリ蓄えた預貯金を、孫の住宅取得費を援助するところに主眼がおかれたものと言える。
4月14日の現段階では、両方を併用できるかどうかは判明していない。もし併用できるとなると、親からは「相続時精算課税制度」3500万円を使い、祖父母からは「住宅資金贈与の非課税枠610万円」を使って、しめて4110万円まで無税で資金援助をうけられることになる。
現行では相続時精算課税制度を利用すると普通の暦年課税方式の贈与への変更はできないので、恐らく、両制度の併用までみとめるほど財務省はゆるくないであろう。
★なお、「相続時精算課税制度」は、「平成15年1月1日から平成21年12月31日までの間に20才以上の子供に贈与」という期間限定の税制である点に注意が必要。やるなら年内である。翌年の2010年3月15日までにその贈与で購入するなり改築した家に居住し、必ず「相続時精算課税選択届出書」の申告が必要である。
★ここで、「贈与(暦年課税)」「相続時精算課税制度」「住宅資金贈与の非課税枠610万円」、それぞれの税額比較をしてみよう。
★30歳の子供が親から3500万円の住宅資金の援助をうけた場合。
・「贈与(暦年課税)」:
(3500万円―贈与税基礎控除110万円)×50%(税率)-225万円=1470万円(贈与税)
・「相続時精算課税制度」:
(3500万円―住宅資金特別控除1000万円―特別控除2500万円)=0(税金0)
※特別控除額を超えた贈与額がある場合は、一律20%の税率となる。
・「住宅資金贈与の非課税枠610万円」:
(3500万円―贈与税特別控除500万円―贈与税基礎控除110万円)×50%(税率)-225万円=1220万円(贈与税)
これだけみれば、「相続時精算課税制度」は断然有利となる。しかし、この制度には、将来、悔むこともかくされているので注意が必要。
・土地を現物で生前贈与されたが、何十年後かに土地の評価額が値下がりした場合、相続時に生前贈与された価格で相続評価される。生前贈与時3500万円、相続時1500万円となると、相続時におもわね相続税を支払うこともある。ただし、5000万円+1000万円×法定相続人数、その金額以上の相続資産がある場合である。この場合は、「相続時精算課税制度」を使うのが有利かどうか、事前に税理士とご相談を!
・「相続時精算課税制度」を一度利用すると、贈与をうけた人(受贈者)は、以降、「贈与(暦年課税)」に変更ができない。
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