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401k、確定拠出年金、米国版廃止論?

★米国で生まれた401k、確定拠出年金の廃止論が、その米国で論議されているという。
朝日新聞09年4月3日号、浜田記者の「米でほころび、廃止論」というタイトルのレポートである。
米国での401k廃止論のオピニオンリーダーは、テリサ・ガルディッチ教授女史であると紹介している。「401kの仕組みには根本的な欠陥がある」と08年10月の米国下院委員会で証言したという。米国でも日本でも個人裁量で運用する確定拠出年金は、08年9月以降のリーマンショック後、オールマイナス運用状況となっている。同紙からその廃止論のアウトラインをまとめておこう。

★テリサ・ガルディッチ教授女史が「30年間の実験は失敗」と断じている米国版401kは、米国勤労者の4000万人以上が加入している。女史が指摘するその失敗の軌跡とは?

(1)確定拠出年金の運用損失は、「若者なら長期で損を取り返す可能性もあるが、退職前後の年齢層には難しい」

(2)確定拠出年金の掛金の非課税メリットは、「お金持ちに偏る欠陥」があり、「減税分の7割分は、所得上位2割の層が受けていた」

(3)テリサ・ガルディッチ教授女史の確定拠出年金廃止後の代替案は、「政府が運営する積立方式の新年金」「国が毎年600ドルを足して社会保障庁が管理する個人勘定に積み立てる」「財源は、従来の確定拠出年金への税優遇に廃止で浮いたお金をあてる」

(4)「資産運用は専門家に任せ、リスクは国が負う。素人である個人に負わせるよりずっと合理的」である。

確定拠出年金は欠陥というテリサ・ガルディッチ教授女史であるが、ならば確定給付企業年金が正しいのかというとそうではないらしい。
要するに米国に北欧スウェーデン方式の個人単位で管理する公的積立年金の導入を提唱しているところが米国社会の「福祉社会主義化」の雰囲気を象徴していて興味深い。

ただし、2008年の米国発金融危機を作りだしたのは、女史が言うところの「資産運用の専門家」であることを我々は忘れるわけにはいかない。

★同紙に紹介されている米国人労働者のエピソードがなんとも可笑しい。
米国自動車大手ゼネラルモータース(GM)に30年勤続のロバート・レジギーさん(50歳)。最近、早期退職を選択した。
ところが、08年初めの401kの資産残高は約15万4千ドル(約1510万円)が、08年秋にはその残高8万4千ドル(約820万円)まで下落縮小。
これではやっていけない!と嘆く姿をレポートしている。

★その運用は、勤め先のGM株が半分超であったわけだから「当然」である。
率直に言って、自社株の運用商品を組み込みかつ推奨したであろうGM401kのマネージャーも、ロバート・レジギーさんも、ともに「お馬鹿さん」としか呼びようがない。確定拠出年金、自社株運用商品を「半分超」も組み込むことが2008年代でも広くおこなわれていたようだ。2001年12月のエンロンの経営破たんで露呈した米国版401k自社株運用の悲劇を教訓化していないノー天気米国人につける薬はない。

★さらにまた、ロバート・レジギーさん(50歳)のゼネラルモータース(GM)の確定給付企業年金にはびっくりである。「企業が給付を保障する確定給付年金(月額2765ドル)で暮らす」(同紙)ロバート・レジギーさん、いつまで支給されるかは定かではないが、日本円で約27万円の年金である。
これでは米国自動車大手ゼネラルモータース(GM)の再建は容易ではないことを痛感させてくれる。
早晩、GMの縮小均衡か経営破たんのあかつきには、ロバート・レジギーさんの月額27万円強の確定給付企業年金もなんらかの縮減か清算においこまれるのかどうか注目していきたい。

★なお、米国の年金事情を知るには、ロジャー・ローウェンスタイン氏の近著「なぜGMは転落したのかーアメリカ年金制度の罠」(日本経済新聞出版社発行)をお薦めしたい。

「民間部門では、年金のつく勤め口の割合は20%を切るまでに低下」「労働人口の三分の一が、年金、401k、個人預金といった退職後の蓄えをいっさい用意していないこと」と警鐘する一方で、既存の企業年金の多くが破たんの危機にあることを、その歴史的経過のなかでトレースしていく。
貧困大国米国の老後設計の惨状は、他人事ではない。
実は日本の現実もそれに近いことをあらためて思い起こさせてくれる好著である。

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2009年04月06日 09:09に投稿されたエントリーのページです。

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