★「日経ヴェリタス」というマネー経済専門のタブロイド版の週刊新聞がある。駅のキオスクの売店、新聞販売コーナーの隅の方にある。滅多には買わないが、月に一度はなぜか買ってみることにしている。プロの機関投資家向けの記事があるかと思うと、「暮らし・資産づくり」といった個人の生活者向けの記事がある。廃刊になった日経金融新聞と雑誌・日経マネーがごちゃまぜになったような、本当は誰に買ってもらいたいのかよく分からない不思議な「経済金融新聞」である。定価500円。一般週刊誌よりは高く、経済週刊誌のダイヤモンド・東洋経済・エコノミストより安い。

日経ヴェリタス 3月22日~28日号の表紙
★3月22日~28日号を見てみる。
一面トップは、『異常株安「公」が出動―キーマン与謝野氏、危機を語る』、財務・金融・経済財政担当相与謝野馨氏のインタビュー。
ここで、氏が注目しているとういか、この国の執政官達が熱い眼差しをむけているのが、「高齢者の金融資産」であることにあらためて気づかせてくれた。
個人の金融資産1500兆円。「貯蓄の世代分布をみると60歳以上に巨大な塊」「子育て世代は所得が上昇せず、資産形成も進んでいません」「これは経済をゆがませる一因」との発言。ここから税制の優遇措置や贈与税の見直しを示唆している点が関心をひくが、一体、この政治家は本当に心から何をやりたいのか、全く見えてこない構成になっている。
★次は、「人気アナリストランキング」から「人気アナリストの銘柄選び」となっている。
笑ってしまうのは、ニッポンのトップ・アナリスト達の発言である。日経ヴェリスタによる人気アナリスト達は、100年の一度の経済危機を読み切れなかったと吐露しながら、職業であるから致し方ないのであろう、パブロフの犬のように「注目銘柄」をあげている。やはり資産運用を職業とするプロになるには、厚顔無恥が大切だとはからずも教えてくれている。
★特集は、「旅するイージーライダーの冒険投資家」、さらばアメリカをしてシンガポールに移住したジム・ロジャーズ氏の独白談。その中から幾つか拾ってみた。
『米ドルが没落することだけが明白』『私は英国の金融資産に一切投資していません』『もし、あなたが中国の農民だったら将来は明るいはずです』『中国以外には興味がありません』『ロシア経済は今後10年は悪化』『インド経済に将来性があるとも考えていません。ブラジルも同じ』『今は育児関連銘柄を除き、日本株にはほとんど投資していません』『1ドル=70円になるまで日本円を保有』
その昔、わが親族にもいた株キチ伯父さんの口吻にまったく同じなのが、何とも奇妙なな思いで読んだ。しかし、どれもこれも、雑誌やTVで聞いた氏の発言のリプレイであった。
★「MARKET&DATA」という定番紙面がある。『「早乗り早降り」でしのぐ』からはじまって、『株式―夏場にかけて1万2000円も』といったように、どこかの証券新聞の見出しのような記事が続く。
★個人投資家向けは、暮らし・資産づくりというテーマで「フォーカス」「スマートライフ」「個人投資家―七転び八起き」というページタイトルの記事がある。
「フォーカス」には、「外貨投資、購買力平価に着目―個人の長期運用、高金利に惑わされるな」である。『FXで溶けた2500万円』『通貨下落で金利差相殺』『為替手数料、「実質」見極めてーアクティブ投信、インデックスよりコスト高』。おいおい、こんな常識は2005年あたりの日経本紙で記事にすべきことではなかったのではないだろうか。
「スマートライフ」では、『家のランニングコスト見直しー光熱費、エコも節約も』で節約のすすめ、さらには「夫婦間の生前贈与」をテーマにした「連載ドラマ」。面白くもなんともないセコイ話がつづく。
★そのなかでも「個人投資家―七転び八起き」はそこそこに面白い。飯野純一さんという個人投資家のウエブ・サイトのブログ記事らしきものを掲載。「さすがインデックス投資家たちだ」という結語。これってかなりマニアックなセリフである。
★日経ヴェリタス、金融経済に絞った週刊新聞。恐らく、金融広告獲得のための創刊だったのであろう。今しばらく、奮闘は続くのか、いずれ日経金融新聞の轍をふむのかはわからないが、ヴェリタス、真理という意味であるなら、徹頭徹尾、金融マーケットに巣食う強欲達の真実も報道してもらいたいものだ。
★日経ヴェリタスには、株式相場の銘柄一覧もある。これは、読みやすいし、使いやすい。まず、「五十音」順が良い。また、「単元株価」で表示された株価は、最低単位当たりの金額ということだから、個人投資家にとっては、まずお小遣い程度で買えるかどうか判断するにはわかりやすい。
52週の高値と安値の表示があるので、短期決戦型の人には良いかもしれない。
ただし、単元以上の売買の場合はいささか、面倒である。
それにしても、日経ヴェリタスのレイアウト、横組4段や2段、3段が入り混じり、なんとも読みにくい。教科書やハウツー物でない限り、新聞雑誌の日本語はやはり縦組が「真理」である。
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