★国の厚生年金の積立金の運用、2010年から不動産ファンドにも投資する。こんな記事が、日経新聞09年2月5日号に掲載されている。
公的年金の資産運用を請け負う年金積立金管理運用独立行政法人(管理運用法人・略称GPIF)は、自ら公言するように「厚生年金と国民年金の給付の財源となる年金積立金をお預かりして管理・運用を行い、その収益を国に納めることにより、年金制度の運営の安定に貢献することを使命」としている。資産運用経験もない厚労省役人の出向者が占める実質的な厚労省の外郭団体である。
このGPIFは、公的年金積立金150兆円のうち約92兆9273億円を市場運用している。その内訳は、国内債券65%、国内株式13%、外国債券11%、外国株式11%。08年9月末、通年ベースで約マイナス3%、マイナス2兆9341億円の損失となっている。
「GPIFは実際の投資にあたっては数百億円から数千億円で投資を始める見通し。市場動向に影響をあたえないよう配慮する」(日経2月5日号)。07年12月から現在、不動産ファンドの幾つかが破たんしているような状況で、どうやって「市場動向に影響をあたえないよう」な投資ができるのか?不思議なことを考える公的年金の運用方針である。
★04年から07年までの東京ミニバブルを演出した不動産投資ファンドは、地上げ屋→銀行→大手デベロッパー→不動産ファンド←投資銀行といった構図で構成されてきた。
東京三菱UFJ銀行が融資した脱税地上げ屋が繰り広げた東京・渋谷のマネーゲームも不動産ファンドあっての犯罪であったという。
広島に本社があって経営破たんしたアーバン・コーポレーションもそのマンション開発に不動産ファンドがあっての拡大から消滅にいたった泡沫の物語であった。東京は品川の1号線沿いにある恥ずかしいぐらい品のない社屋がある。そこを本社とするマンション分譲の日本綜合地所は5日、経営破たんした。これも不動産ファンドや銀行からの資金供給の枯渇であるとも言われている。
つい数年前まで、街の不動産屋の猫も杓子も、不動産ファンドがらみの儲け話で盛り上がっていた。不動産ファンド、総崩れの今、年金積立金管理運用独立行政法人は、いかなる地上げ屋物件に投資するおつもりなのであろうか?
我々の年金資産である。
くれぐれも裏社会の人々が潤うことには投資しないでいただきたいものだ。
★なお、地上げ屋とはその筋のものだけの職業というわけではない。筆者が知る地上げ屋は、何年もかけて、借地人、地権者、開発業者、投資家のもとに通い、それぞれの満足の最大効用をもとめて、土地の有効活用を手掛ける立派なビジネスマンでもある。また、地元では、不遇の人の面倒をよくみる篤志家でもある。本人は街のお世話係と謙遜気味に言うが、本筋は、地を上げ、地を興す人である。
★できうるならば、年金積立金管理運用独立行政法人も変な不動産ファンドなどに手を出さず、直接、正しい地上げ屋の道を歩み、この東京や大阪のゴミゴミした街を、緑多い、クリーン環境の街に変える都市再開発投資でも考えていただきたい。
しかし、やはりそれはやめておいてもらうに越したことはないかも知れない。他人のお金をもてあそぶお役人はすぐに借金コンクリートの「なんとか会館」や「グリーンピア」のようなヘンテコなリゾートを作ってしまうのがオチである。
やはり、公的年金運用は米国政府のように自国の国債だけで運用しておくのが正しい道である。国民に変なツケをまわさないことにもなる。そもそも、日本の公的年金の資産運用といっても、ほとんどがサラリーマンが加入している厚生年金の資産である。資産と負債のバランスは、オーヴァー・ファンディングであるわけでもなく、常に積立不足の恐怖にさいなまれた財務状況である。
★それにしても、こうした年金積立金管理運用独立行政法人の運用基本方針、国会の場で何の議論もなく、厚労省役人作成の一片の通知だけで済ましてしまう。この仕組みはこのままでいいのであろうか?
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