★米国経済のリセッションは激しい勢いで進んでいるようだ。10月の米国自動車の新車販売は、前年同月比で31.9%減の83万8156台にまで落ち込んだ。25年8ヵ月前の1973年の水準と並んだという日経新聞11月4日夕刊の記事は、米国経済がのっぴきならない状況にあることを伝えている。
同紙に掲載された10月の米国新車販売、各社の台数実績と前年同月比を引用しておこう。
GM:166,744台、▲45.4%減
トヨタ;128,531台、▲29.2%減
クライスラー:94,530台、▲34.9%減
ホンダ:85,864台、▲25.2%減
日産:56,945台、▲33%減
日経新聞11月4日夕刊によると、GMの大幅な減少の原因のひとつは、GMの金融子会社であるGMACによる自動車ローンの審査基準の厳格化にある。「消費者の約4割がローンの対象外」と伝えている。GDPの60%を支えるという米国消費者、その家計の不全状況は深刻である。世界の消費社会の主軸を担ってきた米国消費者、その崩落は、世界の産業に大きな暗雲となってきた。
米国大統領選挙、オバマ大統領誕生の可能性が高くなってきた。しかし、米国史上、最初のアフリカ系の若き政治リーダーに託された課題は余りにも重い。
米国の自動車販売が大幅減となれば、当然に日本国内の自動車生産は急速にブレーキがかかる。
トヨタの高級車レクサスを生産する九州工場(福岡県若宮市)では、「今夏以降、40万台、37万台と生産計画を相次いで下方修正。10月には32万台まで引き下げた」(朝日新聞11月5日)。すでに、雇用調整にまですすむ状況を報じている同紙によると、トヨタ九州工場では「6月と8月に、製造現場の派遣社員計800人が契約解除された」。
すでに、人口減少が着実にすすむ日本国内の自動車販売台数は、若者の自動車離れもあって、長期低落傾向にある。10月の新車販売台数(軽自動車を除く)は23万3922台、前年同月比▲13.1%。「68年(19万6445台)以来過去2番目に少なく、40年ぶりの低水準」(朝日新聞11月5日号)。
国内自動車市場での大きな成長が見込めない以上、海外市場頼りの日本の自動車産業である。
米国が駄目なら欧州かというと、ドイツのダイムラーは、「12月中旬から約1ヵ月間、国内全14工場の生産を止める予定。業界では人員削減も進んでいる」(朝日新聞11月5日号)。
すでに、世界景気のけん引役の自動車産業は、販売は急冷減少、生産現場は減産モードに入った。自動車産業そのものは、余ほどの景気絶好調な巨大な新興市場でも登場しないかぎり、ここしばらくは加速縮小にむかいつつあるようだ。
産業の中軸となった自動車産業の沈下は、その関連産業に逆スパイラルの縮小をもたらす。
自動車部品、鉄鋼、電機、石油生産、金融、化学、はたまた広告業界にまで波及する。
国内の自動車関連産業の就業人口は約500万人(朝日新聞11月5日号)。08年9月末の就業人口は約4513万人、その約20%近い数となるが、さらにその恩恵産業である小売や百貨店、サービス業の就業者数となると、その数倍となるのであろう。雇用危機の加速は、計り知れない、未曾有の大不況を予測させる。
一世帯当りに6万円強のお恵みを大盤振る舞いとなる約2兆円の定額給付を画策する麻生内閣。6万円なにがしかでは車は買えませんよ、麻生さん。選挙より経済対策と粋がってみせたが、もはや、壮大なムダ使いの典型となるのであろう。
巨大な不況の嵐を前にして経済対策の根本は、雇用対策につきる。約2兆円は雇用保険に緊急積立、雇用保険支給期間も3年程度の延長にする。雇用保険法改正を直ちに立法するときだ。
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