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ハイパー・インフレーション、「恐いはなし」

★「世界の株、ピークから1年で時価総額2000兆円目減り」「(インターバンク市場では)銀行間取引マヒ続く」「米大統領、経済、危機的局面に」「不信の連鎖 市場揺さぶる」「信用収縮、投資・消費に打撃」「政治と市場 失敗の共振」「ドル・ユーロ売られる」。
10月1日の日経新聞におどる米国発金融危機を報じるタイトルの「連句」を読むと、まさに基軸通貨米国ドルの将来への信用、その「予想の無限の連鎖」(岩井克人先生)が終わりを告げているかのようである。この先にある世界経済の危機は誰もが想像しようがない混迷をふかめるのか。
ここはひとつ「恐い話」を聞いておこう。経済学者・岩井克人先生の「21世紀の資本主義論」(現在、ちくま学芸文庫から文庫版ででている)を今しばらく読み継ごう。

貿易でも、海外旅行の買い物でも、金融取引でも、米国ドルでの決済を拒否され、米国ドルや米国財務省債券が叩き売られ、米国本国に世界のドルが還流される日を境に米国発金融危機は、ハイパー・インフレにと進むのか?

「恐れが自己実現し、世界中のひとびとはドルから遁走しはじめる」「タイからロシア、ロシアから韓国、韓国からブラジルへとアメリカの国外を回遊しつづけていた膨大な量のドルが、アメリカ国内に大挙して押し寄せ、アメリカ製品との交換を要求することになるはずである。ドル紙幣をたんなる紙くずにしてしまうよりは、なんでもよいからモノのかたち、にしておいたほうがはるかにましだ」

経済学者・岩井克人先生が解析する米国ドル危機を引き金にしたハイパー・インフレの阿鼻叫喚の図である。
「ドルはほかの通貨と同様の、たんなるアメリカの通貨、しかも大幅に価値を失った一国通貨に成り下がってしまうのである」と論をすすめる。
アラブ産油国、共産党独裁国家の中国、日本国などが抱えた、膨大なドル紙幣、米国国債は米国の製品や企業、不動産などを買わされることになるのであろうか?

「ハイパー・インフレーション」の定義とは、「ひとびとが貨幣を貨幣として受け入れることを拒否し、先を争って貨幣から遁走している状態」「ひとびとは減価していくだけの貨幣をなるべく早く手放そうとして、商品にたいする需要をさらに増やすことになる」「インフレーションが実際に加速してしまうと、インフレーションがハイパー・インフレーションに転化」

なぜ、そうしたハイパー・インフレが現在おこりうるリスクをかかえているのか?
岩井克人先生は、「グローバル市場経済それ自体」に内在していると言う。
「グローバル市場経済とは、おどろくべきほど『非対称的』な構造を持った世界」である。

その「非対称的」とは、「一方には、世界中で自国の通貨ドルを使うことができる唯一の基軸通貨国アメリカがあり、他方には、そのアメリカの通貨ドルを使っておたがい同士で取り引きをするほかのすべて非基軸通貨国がある」ところにある。

それならば、もう一方の基軸通貨、ユーロ圏が新たに登場しているではないかととなるが、すでに米国発『予想の無限の連鎖』の崩壊はヨーロッパに飛び火。
ユーロの金融市場もきわめて怪しくなってきたのが、この数日の状況でもある。
28日ヨーロッパ金融大手フォルテスが破綻、ベルギー政府が国有化。
29日英国中堅金融ブラッドフォード・アンド・ビングレーを英国政府が一部国有化
アイスランド政府が国内銀行を国有化。
ドイツ不動産金融大手ハイポ・リアル・エステーとにドイツ政府が緊急資金支援。

グローバル市場経済は、現在いかなる突発性をもってハイパー・インフレーションに転化するのか?これは誰もが想像したくもない「恐いはなし」であるが、我々の経済も生活も、資産運用もその視界は、まったくの視界ゼロに近づきつつある。

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2008年10月02日 06:00に投稿されたエントリーのページです。

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