★ザイローとは在職老齢年金の略称である。
社会保険庁は60歳から65歳に支給する在職老齢年金に、未支給があることを8月29日に公表している。1999年8月~2008年7月までの3万2825人分、総額約11億9000万円が在職老齢年金の年金額計算のシステムのプログラムミスで未払いになっていた。社会保険庁はただちに本人に通知、10月15日の年金支払い日に未払い分の年金を支給する。
ただし、今回のケースは60歳時以降に45万円以上の月収の人ということであるから、かなり恵まれた高齢高級サラリーマンということなる。ザイローを少々減額されたところで腹を痛め、腹を立てるようなご仁達ではない。また、本来年金はすべて支給停止かザイローもきわめて少額であるはずである。
それにしても、朝日新聞8月30日の記事「だが、・・・社保庁のシステムでは45万円を超えた場合も、補正せずにその額にもとづいて減額幅を計算し」という内容は、かなりの年金オタクでないと理解不可能である。在職老齢年金の計算のプロセスは「高度な年金知識」がないと納得しようがないほど複雑なブラックボックスになっている。社保庁の計算ミスを指摘できる人は、まずいないと考えてもいい。
今回の在職老齢年金の未払いミスは、60歳~65歳の間に、「高年齢雇用継続給付金」を受けていた人の場合のようだ。
「高年齢雇用継続給付金」は、60歳以降の給与が60歳時の給与より25%以上ダウンした時に、その60歳以降の給与の15%程度が支給される制度である。
ところが、「高年齢雇用継続給付金」が支給されると、在職老齢年金はさらに減額される。60歳以降の給与額が61%未満(例えば40万円の人が22万円、55%になった場合など)、在職老齢年金は、60歳以降の給与の概ね6%程度減額される。
ここからがまた面倒なところで、60歳時以降の給与、標準報酬月額はみなし賃金としては上限45万1800円(H19年8月現在)となる。
つまり、60歳時以降に100万円でも45万1800円とみなされる。
今回のケースは、恐らく、本来45万円の6%の減額であるべきところを100万の6%に減額したのではないかと類推できる。金額にして、2.7万円の減額を6万円の減額とプログラムミスをおかしてしまったのであろう。この差額3.3万円×支給期間が返還となるようだ。
いずれにしても、在職老齢年金は本人が計算できるような仕組みではない。60歳前の給与、60歳以降の給与、年金見込額があきらかなら社会保険事務所で試算してくれるので、定年前の準備として、見込み年金額、在職老齢年金見込額は是非、とってきたい定年前情報である。
在職老齢年金、高年齢雇用継続給付金との関係は、
「年金お助けBOOK2008-2009年版」P184-190で詳解しています。是非、ご覧下さい。
http://www.nenkin.co.jp/book/book_01/
年金お助けBOOK 2008-2009年版
適格年金のやめ方