★物価上昇が近年にない勢いで続いている。けれども年金額は2004年度の「100年安心プラン」改正によって「自動物価スライド」は廃止されている。日経新聞8月11日号、厚労省は、09年度の「年金受給額、物価上昇でも据え置き」を決定したことを一面トップで報じている。
04年度改正から、2000年度から2002年度にかけての物価下落時も年金額維持をはかった「ツケ」が1.7%分あり、これが解消されない限り、年金額は引上げられることはないことになった。さらに、この「ツケ」1.7%が解消されると、「マクロ経済スライド」という「調整率」(被保険者数の増減・平均余命の伸展率から引き上げブレーキを設定)マイナス0.9%が歯止めを効かせる。「今年の消費者物価が過去の特例分(1.7%)とマクロ経済スライドの一定率(0.9%)を合わせた2%台半ばを超える上昇にならない限り、来年度の年金額は増えない計算」(日経新聞08月11日号)。6月の消費者物価は前年同月比で2%上昇である。
同紙は、政権与党内では次期衆議院選挙を控え、「高齢者への配慮」を求める意見が強まっていると観測記事を付している。
★なお、日経新聞08月11日号の記事は、やや正確さに欠けている。
1.「公的年金は原則として毎年1月、前年平均の全国消費者物価指数を反映し、4月以降の受給額を決めている」(日経新聞08月11日号)というのは、昔の話である。
すでに2004年改正で上記記事にあるような「自動物価スライド」は廃止されている。ここでは詳細は省くが、60歳から67歳までは「名目手取り賃金変動率―調整率」によって「改定率」が決められる。
68歳からは「物価変動率―調整率」による改定率となる。
要するに「改定率」には、年金増額に対して幾重にもブレーキが控えているのである。
2.「物価が急上昇すれば増額の可能性はある」(日経新聞08月11日号)わけではない。例えば、物価変動率は、前年度消費者物価指数÷前々年消費者物価指数で計算されるように、今年の物価急上昇が翌年度いきなり年金増額になる「仕組」になっていない。
2004年度の年金改正で導入された「マクロ経済スライド」である。これは、現在の厚労省年金局にとっては、世界に冠たる「年金自動抑制装置」として内外に喧伝してきたものである。しかし、これほど複雑な装置はない。
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