★派遣社員の50%は、常に「失業」「待機」の状態にある。本誌の推定である。日雇い派遣の原則禁止案(朝日新聞7月2日)を打ち出した政権与党の発想は、一見、「社会正義」の表明のようだが、これは失業者を増大させるだけになる危惧がある。
1999年約26万件程度であった派遣先件数(派遣社員雇い入れ企業)は、04年約49万件を境に急増。05年約66万件、06年約86万件、この両年だけで対前年30%強の増大ぶりである。
この要因は、04年の製造業現場への派遣社員解禁、日雇い派遣の拡大である。企業業績の復調ということもあった。しかし、企業経営サイドからすれば、製造・サービスなどルーティン業務では、海外移転するよりも、日本国内でのライン構築は、中国や東南アジアとのコスト比較で「競争的」にイーブンになったこともある。中国や東南アジアへの製造業移転は一巡し、コアビジネスは日本国内でひっそりと営む。どうしても、海外移転ができないドメスティックな業務でも、効率化できるようになった。
その最大の寄与は、派遣社員の活用、短期繁茂期の日雇い派遣の活用が大きい。
派遣社員の雇用期間の実態を「派遣契約の期間割合」データを見てみよう。その「活用ぶり」がよく理解できる。

3ヶ月未満雇用は、①一般労働者派遣で約82%、②特定労働者派遣の約18%、全体で80%となっている。これが6ヵ月未満までの累計となると、派遣社員全体で93%。実際には、3ヶ月、6ヵ月で派遣契約の更新が行われるためにこうした93%と高い数値になる事情もある。
しかし、派遣社員サイドからすれば、これは堪らない不安定な制度である。ならば、政府の採るべき政策とは何か?ここは、日雇い派遣の経験もある人に意見を聞いてみることにする。30数歳のA君、日本国内でも海外でも「派遣経験」は多彩にあるようだ。
「短期の派遣はお小遣い稼ぎのお嬢さん、奥さん、お坊ちゃまには便利な制度だが、生活の糧を稼ぐには、これほど不安定な低賃金労働はない」「問題は、派遣延長を切られた時。次ぎの仕事にありつけるまでの雇用保険、健康保険、年金、子供の教育費など、ともかくセイフティーネットが支えてくれなくては、不安は極限までになる」
「派遣で企業も十分にメリットを得られるのだから、そのメリットの何割かを社会保障税として徴収してもいいのではないか」。
政府の日雇い派遣原則禁止案は?「やはり製造業や建設現場、港湾荷役などで日雇い派遣はよくない」「それでも、短期雇用するなら直接雇用すべきだ。労務管理や職業訓練、社会保険の適用など派遣会社に押し付けるやり方は、どうかと思うよ」
とは言え、派遣社員制度は、もはや企業経営には欠かすことができない極めて有効な雇用制度でもある。派遣社員と派遣会社、派遣先企業、この三者の「利害」のバランスはどう計るべきなのか?
今ようやくにして、論議の端緒についたとも言えよう。
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