★朝日新聞論説委員・梶本章氏は、基礎年金の現行・社会保険方式護持の論理をほとんどが厚労省の既定方針案のトレースのなかで展開する。その最たるものが、非正規雇用・パート社員の国民年金未納・未加入の対策である。
朝日新聞社会保険方式護持の第三の施策は、非正規雇用、パートの厚生年金強制加入の徹底である。それ自体も悪い考えでもないが、ならば実際に厚生年金強制加入すれば、企業の経営からどういうことが起きるか?火を見るよりも明らかである。朝日新聞・梶本章先生は、日本の大手・中小製造業、小売業、居酒屋の現場を知らない。
★すでに、その基幹の産業の多くは、ブラジル人、中国人、南アジアの人々のアルバイトやパートなくして成り立たないのである。厚生年金強制加入すれば、海外に移せる企業は海外に、外国人アルバイトで十分賄える業種はさらに外国人アルバイト労働者ということになるのは、現代資本主義の当然の成り行きである。
非正規雇用・パートは厚生年金に加入してくれない企業で働かざるをえないならば、せめて国民年金の加入継続をどう制度化するかが重要である。彼らの職種の宿命として、常に制度の継続加入は寸断される。
加入継続のためには、国民年金の徴収義務を事業主に負わせるといった厚労省の思いつきは、非正規雇用・パートが職にありついている時はいいが、そうでない時は未加入・未納が繰り返されることを防ぎようがない。どうも、厚労省やその取り巻き誤用(御用ではない!)学者達の思いつきは、社会的現実に対して、余りにも無知、幼稚である。
国民年金の加入継続を担保するには、全額税方式しかない。
非正規・パートの年収は、200万円から300万円が水準である。ここから、国民年金保険料年間約17.3万円、国民健康保険約4万円、住民税約2万円、しめて租税公課費は約23.3万円強。
年収200万円で生活費用として使えるお金は、年約177万円、月約15万円。
稼ぐ親と同居の非正規・パートならいざ知らず、都会で一人、自立した生活を営むには、家賃6万円を払えば、残るは9万円。国民年金保険料はその2ヵ月分に相当する。
余ほどの奇特な「年金心」がない限り、自主的納付続けられない。
かくして、低所得=無年金か低年金の悪循環は幾世代にもわたって終わらない。
ところが、こうした低所得階層は、保険料免除申請を使え!と朝日新聞は言う。
第四に低所得者の国民年金1号被保険者には、保険料「免除制度をキメ細かく適用」と朝日新聞梶本先生は言う。要するに勝手に「免除申請」を強制代行してきた社保庁の不正手段を追認する。
そもそも免除申請制度は、「キメ細かく」すればするほど、表面上の納付率向上の偽装工作は進化するが、低年金者増大という制度悪の温床は拡大する。しかも、保険料免除申請者の増大は、それだけ他の加入者の税負担は増大する。その負担額が多いか少ないかだけでのことで、方法論としては税方式に近づくだけのこと。
ならば、増大する低年金者はどうしたらいいのか?
第五に低年金者には、「生活保護制度をもっと利用しやすくする」という。さらに、低年金者の尊厳を踏みにじるように「生活保護という名前が嫌ならば高齢者への新たな扶助制度を作ってもいい」とまで言う。これは朝日新聞の論説という高給取りエリートサラリーマンの傲慢さのなにものでもない。
ご親族やご近所に低年金者がいないのであろうか?
生活保護世帯は約100万だが、実際には対象世帯は推定で300万強といわれている。彼らはなぜ生活保護申請をしないのか?それはなにも、手続きの煩雑さだけではない。人間痩せても枯れても、人のお世話になりたくない、いわんやお上に頭下げてまで生活扶助などもらいたくない、と最後の矜持を守って生きているのである。こうした健気な人々の生き方をバカにしてはいけない。
これは、後期高齢者医療に対する多くの老人の怒りと同じものを低年金者にもたらすであろう。「自分達は保険料を払わないといっているのではない。その差別的やり方、有無を言わせず年金天引きするやり口」が高齢者は気に入らないのである。低年金者は「名前を変えた生活保護」を支給しても良いと言う。清貧に倹しく生きる人々の尊厳を踏みにじった言い分である。
それよりも、過去の未納分一括納付の制度化、2年の納付時効の撤廃など、現行制度内でも低年金者対策は、やれば少なからずやれたはず。実は、それこそ、年金財政に悪弊をもたらすという年金専門家という御仁達の「見識」によって、政治家達はこうした善政を怠ってきた。こうしたことをすら、朝日新聞は追求していない。
第六は、専業主婦の「第三号被保険者」の強制加入・保険料徴収を朝日新聞は主張する。これも、厚労省年金局の本音のトレースである。約1000万人の専業主婦からの強制的保険料徴収は、恐らく夫の厚生年金からとなるのであろう。これも、後期高齢者医療制度と同じで、今まで、無料だった国民年金がいきなり有料となれば、その怒りは政治家に向う。
第三号被保険者制度は、専業主婦にとっても、その分の年金財源を負担している全厚生年金被保険者にとっても、罪深い制度である。
1985年の年金改正の「目玉商品」として、売り出されてきたものだ。これは、誰もがその時代、良いものとして拍手喝采してきた。筆者も朝日新聞もその意味では同罪である。まず、朝日新聞は「第三号被保険者」の強制加入・保険料徴収を支持するならば、過去の記事は不見識であったと懺悔しなくてならないのではないだろうか?
筆者は、専業主婦の「第三号被保険者」の保険料強制徴収などと、今さら悪代官みたいなことをするならば、これこそ全額税負担にすることを支持する。
筆者自身も我が妻(第三号被保険者)もそろそろ年金受給権者になるが、後代の人達の年金負担が多少でも軽くなるならば、当然、税負担を受け容れるのが人の道と思う。
朝日新聞・社会保険方式護持論は徹頭徹尾、厚労省の基礎年金問題の先送り案のトレースである。
しかも、この案を朝日新聞は「リフォーム」と言う。「リフォーム」は、改善、改革という意味だが、この朝日流「年金リフォーム」は、屋台骨はボロボロ、多くに人もボロボロと去っていくボロ屋の外壁と部屋の壁紙を新しくして、「新中古家屋リフォーム済み」と謳って売り出すかなり悪質な不動産屋の遣り口とほとんど変わらない。
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適格年金のやめ方