★公的年金のリスク運用拡大を主張する「グローバル化改革専門調査会」(会長・伊藤隆敏東大教授)。朝日新聞5月22日が掲載した同調査会の改革案5点のうち、最後の2点を見てみよう。
4.資金を複数に分割して運用を競いあわせる。
5.不動産を始とする株式や債券以外の資産も投資先候補に加える。
★4の競争原理を持ち込めば「パフォーマンスは上がる」という思い込みである。20年前の年金基金の運用では、複数の運用機関を競い合わせ、叱咤激励し、怒鳴りまくれば、運用実績が上がると信じていた厚生年金基金の常務理事が多くいた。このレベルとほとんど変わらない。市場運用で複数のマネージャーをどう手際よく活用するかという問題は、「競いあわせる」といった方法でパフォーマンスは上がらない。実際に複数のファンドマネージャーを使う目的は、リスク分散でしかない。
★5は、「代替商品である不動産運用など入れれば安定収益がある」。不動産投資信託(J-REIT)や不動産開発投資、またはファンド・オブ・ファンズなどオルタナティブ投資のことのようだ。しかし、残念ながら、不動産投資信託(J-REIT)は現在、騰落率▲30%から▲50%の惨状。ビルテナントの不動産開発投資は大手町・丸の内界隈以外は「大淘汰」時代を迎えている。ファンド・オブ・ファンズにいたっては、世界的に「上手くいかなくなっている」。それでは、150兆円の何割かを使って、大手町・丸の内界隈のビルを買い占める計画でもあるのであろうか?
再度、ジョン・ボーグル氏の著書「マネーの常識」(原書「The Little Book of Common Sense Investing」日経BP発行・監訳=林康史、訳=石川由美子)に耳を傾けたい。
『投資ビジネスに携わる者にとって、金持ちの道は、「足を止めているだけではだめだ。何かをしなくてはいけない」と顧客に納得させることである』(ジョン・ボーグル氏)
推察するに、「グローバル化改革専門調査会」のメンバーや日本版政府ファンドを提唱する政治家のもとには、内外の金融機関=胴元が「何かしなくてはいけない」と日参して、口説いているのであろう。ならば、公的年金の積立金を持ち続け、運用するならば、どうしたらいいのであろうか?フォーチュン誌が選んだ「投資運用で最優かつ偉大な4人」の一人、ジョン・ボーグル氏は言う。
『しかし、顧客全体にとっての金持ちへの道はその反対で、「何もするな。足を止めていろ」である』『すべてのマネージャーを排除しなさい。すべてのコンサルタントを排除しなさい』ということになる。
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