★経済財政諮問会議、公的年金積立金の運用迷走論議をしばらく検証してみたい。この迷走の最大の迷妄は、同会議の傘下にある「グローバル化改革専門調査会」(会長・伊藤隆敏東大教授)の意見書というか、思いつきである。「一流のプロ」に任せれば、運用実績が上がるといった迷信を信じているところが、なんとも他愛ない。
はじめて投資信託を購入する人が、銀行や郵便局や証券会社の窓口で聞かされる甘言と同じだ。こうした甘言をフツーの人は半信半疑するものだ。
ところが、国会議員とか企業トップや学者は、なぜか不思議に信じてしまう傾向がある。特に、外資系運用会社の営業ウーマンにすこぶる弱い。
「グローバル化改革専門調査会」のご意見、5点のうち、今日は2点、その迷妄を指摘しておきたい。
★外国人の専門家、一流のプロの運用とは?
2.「年金というのは国民の大きな財産。150兆円の利回りが1%違うと1.5兆円違うわけで、日本は外国に比べて、あまりに今、収益が低い」(23日経済財政諮問会議レポート)
「外国人の専門家」「一流のプロ」だとパフォーマンスが高いといった迷信の根拠にしている言説である。
※筆者注:
1>経済財政諮問会議で提示された公的年金運用収益率は、「日本の年金運用の5年平均収益率=3.5%。オランダ7.2%。スウェーデン7.5%。カナダ10.4%」。リスクプレミアムは国や経済圏の長期金利、インフレ、経済成長率によって違う。単純に横並び比較はできない。ちなみに、カナダ国債の平均的利率は4%台である。
2>年金運用であろうが、個人の運用であろうが、大切なことはその収益の如何以上に、リスクの状態である。不思議なことに、経済財政諮問会議では、年金運用におけるリスクの位置づけが真剣に論議されていない。「リターンとリスクはメダルの裏」(民間議員氏)などというご託宣ではリスク認識になっていない。
3.「運用実績に応じた報酬を支払うなどして外国人も含み優秀な専門家を確保」「一流のプロに任せて」(朝日新聞5月22日)
※筆者注:「外国人の専門家」に「一流のプロ」がいるという「迷信」は、20年ほど前の日本の金融機関や年金基金の一部で囁かれたこともあった。そして、多くの機関投資家は、煮え湯をのまされたり、法外な報酬を払わされたり、さらには多くの日系生保は経営そのものを破綻させられた。現在はサブプライムローン関連の仕組債によって大きな損失を蒙った世界の金融機関。これらも「一流のプロ」によって仕組まれた損失である。
「一流なプロ」がお好きな先生方に本当の「一流のプロ」の警告をお贈りしたい。
★John C. Bogleの提言
米国の投資会社バンガード・グループの創業者で、インデックスファンドを普及させたジョン・ボーグル氏の著書「マネーの常識」(原書「The Little Book of Common Sense Investing」日経BP発行・監訳=林康史、訳=石川由美子)から。
「投資ゲームには参加するためのコストがかかり、このコストにより勝者は利益を減らし、同時に、敗者は損失を増やす」
「常に金融の胴元が勝つのである」※「胴元」とは民間議員氏が言うところの「一流のプロ」であるファンドマネージャーやマーケット担当者、会計士、弁護士、などを著者ボーグル氏は指している。
「ファンドの投資家は、自分たちが優れたファンドマネージャーを安易に選択できると確信しているが、それは間違っている」
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