★悪評高い後期高齢者医療制度をさだめた「医療制度改革関連法案」(06年2月成立)は、大きく3つの体系になっている。1つは、日本の健康保険制度(現役勤労者加入の健保、自営業者や退職者加入の国保)を都道府県単位に再編・統合しようとしていること。2つは、高齢者医療制度を前期高齢者(65歳から74歳)、後期高齢者(75歳以上)に分け、前期は国保か健保に加入、後期は新たな保険制度―後期高齢者<専用>医療制度を設けたこと。3つは、医療費体系の「適正化」戦略を創作したこと。この3つの改革が相乗的に功を奏すれば、2025年の医療給付費は48兆円に「適正化」される見通し。現状のままだと56兆円になるというのが、厚労省の構想だ。この内容を整理してみたい。
★1つ目は制度運営主体を都道府県単位に再編・統合。具体的には次ぎの手順となっている。
<1>市町村国保を都道府県単位とし「保険財政共同安定化事業」を創設。(06年から09年)
<2>政府管掌健康保険を社会保険庁管轄から、その外郭的団体「全国健康保険協会」を都道府県ごとに設立、地域医療費を反映した地域保険料率を設定。
<3>健康保険組合を「再編・統合」して「地域型健康保険組合」に吸収。
※筆者注:官僚の改革は常に機構改革が先行し、まず、自分達の既得権益の配分・再編・統合を念頭にくまれていく。一見、市区町村単位の国保、赤字健保組合の整理統合のようだが、「全国健康保険協会」、「地域型健康保険組合」は、社会保険庁の悪しき「保険一家」事業(天下り先確保事業)の臭いが強い。しかも、日本の人口の半分が首都圏に在住、人口急減超高齢地方県が増発するこの日本で、今さら、都道府県単位の地域医療を反映した地域保険料など、破綻が目に見えている。
★2つ目は、現行の退職者医療保険、老人保健を解体し前期と後期に区分した高齢者医療制度の財政調整法を整理したことである。
<1>後期高齢者(75歳)医療の財源は、個人単位とし本人1割、現役世代加入の国保と健保から4割、税金投入5割。本人の保険料負担は平均で年間7.4万円。医療費負担は原則1割、現役並の所得者は3割。
<2>前期高齢者(65歳から74歳)は、国保か健保に加入するが、財源は健保の加入者数に応じて国保に財源補給という調整がメイン。なお、現行の退職者医療保険は、S24年生まれの団塊シンガリ世代が65歳に達するまで、「経過的存続」するが、次はどんな制度になるかは不明。
★3つ目は、医療費適正化という「病院にいくな!」運動の徹底である。その要約を羅列する。
<1>生活習慣病対策、いわゆるメタボ検診&エクササイズの実施。この実施状況に応じて後期医療保険制度の運営主体に「財政調整金」が配分。
<2>平均在院日数の短縮。(08年から13年までの5ヵ年計画)。
<3>医療費の自己負担の引き上げ。70歳以上で現役並所得者は現行の2割から3割。70歳から74歳は現行1割から2割。
<4>介護保険適用の介護療養型医療施設の廃止。在宅介護か介護付き有料ホームかが中心になる。
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