★4月1日からスタートした後期高齢者医療制度は、極めて世間の評判が悪い。制度導入にあたって、政府(小泉内閣)・厚労省は、夫婦で年金額150万円前後の低所得者は、これまでの75歳以上が加入してきた国民健康保険の保険料負担より軽くなることを制度の利点としてあげてきた。ところが、厚労省の根拠データが実態的でないことを5月5日の朝日新聞が記事にしている。
★75歳以上を対象としたこの新高齢者医療制度の特徴は、個人単位に保険料が課せられることになったこと、年金から天引きされることにある。5月5日の朝日新聞によると、
「75歳以上の国保加入者は890万人で、うち半数以上の490万人が課税所得ゼロ」。所得税の課税所得ゼロの世帯を夫婦の年金額153万円以下とすると、これまでの国民健康保険は、所得に課せられる保険料方式でない、人数分+定額分+資産分(持ち家などある場合)となり、次ぎの3点から住所地の市区町村が決める方式となっている。朝日新聞の掲載データから引用要約しよう。
<1>厚労省試算の国保保険料:
人数分(一人2万3000円×2人+定額分2万4000円)×0.3+資産分1万9000円=保険料4万円
<2>市区町村によるA方式:
人数分(一人2万7000円×2人+定額分2万6000円)×0.3+資産分0円≒保険料2万4100円
<3>市区町村によるB方式:
人数分(一人3万4000円×2人+定額分0円)×0.3+資産分0円≒保険料2万500円
<4>後期高齢者医療制度:
人数分(一人4万1500円)×0.3×2人≒保険料2万5000円
課税所得ゼロの世帯を夫婦の年金額153万円以下の「後期高齢者低所得者層」とすると、その保険料負担は、厚労省の制度導入時説明でもちいた<1>の試算データより、<4>後期高齢者医療制度は「安くなる」。5月5日の朝日新聞は、実際には<2><3>の市区町村によるA・B方式と比較すると、<4>後期高齢者医療制度では900円から4500円の負担増ということになるという。
03年3月以降の自民・公明党政権与党、経済財政諮問会議で合意を得て、06年2月に強行採決された後期高齢者医療制度は、小泉内閣の「痛みのともなう改革」の柱のひとつでもあった。政権与党も経済界も拙速なる失政の謗りは免れそうもない。今後、高齢者いじめの柱の一つとも言われ始めたこの制度は、GW明けの国会で大きな論議となること必至であるが、いずれにしても、定年退職後の公的医療保険制度はますます、混迷をきわめつつあるようだ。
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